美味しい夢

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10月とはそんな月とは知ってはいたが、それにしても毎日雨が降る。朝から晩までなんて無粋な雨ではないけれど、短い時間にとんでもない降り方をする。今朝もそうだ。そろそろ空が明るくなっても良い頃に益々空が暗くなったかとおもったら、天が張り裂けたような雨になった。それでなくとも仕事へ行くのをぐずっていた私を、さらに落ち込ませるような雨だった。本当ならばゆっくりと身支度を始める筈だったが、朝食をとったにも拘らず再びシーツの中に潜り込んだ。今日は仕事に行きたくない。そんなことを呟きながら。そうして10分だけ目を瞑った。

夢を見た。私は食事を作っていた。鶏肉と骨付き牛肉と数種類の野菜を何時間もコトコト煮だして作ったブロードに仕事帰りに旧市街に立ち寄って買ったパッサテッリという生パスタを入れるところだった。パッサテッリと言うのはパルミッジャーノレッジャーノと卵と細かく挽いたパン粉を練って作った長細い紐のようなパスタである。ボローニャ辺りの伝統的なパスタで、これをブロード入れて煮たスープ料理は寒い季節のご馳走だ。既に他界した舅はこれが大好きだった。在る冬の日、パッサテッリを自分で作ると言って張り切ってキッチンに立ったが、いざ、熱いブロードの中に入れて煮だすとパッサテッリが溶け始め、あっという間に跡形もなくなってしまった。それは舅の好物でもあったが、病気で料理が出来なくなった姑の為にと思って腕を振るっていたので、それはそれはとても悲しそうだった。ブロードに溶けてしまったパッサテッリをスプーンですくって食べてみたら、美味しかった。これ美味しいよ、と舅に言ったが、いいや、こんなのじゃ駄目だよ、と食にうるさいこの辺りの頑固物の典型である舅は首を横に振って、やはり悲しそうな様子だった。私はパッサテッリをブロードに入れる時、必ず同じことを思い出すのだ。テーブルには同じく旧市街で買ってきたチーズ。奮発してトリュフ入り。そしてモンテプルチャーノの赤ワイン。そうそう、ブロードを作る為に何時間も煮た肉と野菜も皿に乗っていた。煮だしたものの、柔らかくて美味しい。美味しさはちゃんと中に残っているのだ。これらを刻んでオリーブオイルなどを振りかけて頂くと美味しい。私の好物なのだ。そうしてまさに頂こうと言う時、目が覚めた。何てことはない、昨晩の食事のことを夢に見ただけだ。だけど、あのブロードの美味しそうだったこと。あの赤ワインの深い赤。チーズを切り分けた時にふわりと上がったトリュフの微妙な匂い。暫く脳裏から離れそうになかった。朝から何ということだろう。

再びシーツに潜ったために遅刻寸前だった。ま、いいじゃないか、こんな憂鬱な雨の日は。そういえば、まだパッサテッリを作ったことはない。私は店で買う専門だ。でも、と思う。舅が失敗したパッサテッリ。舅の名誉挽回を私がしてみようか。今度の週末辺りに。


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コメント

写真の生ハムというのかプロシュートというのか、あーおいしそうですね。らにほ日本で買うと薄く切られたものがちょろちょろっと少しパックされて、結構高いのです。本場はお求め易いのでしょうか。
チーズが混ざったパスタ初めて聞きました。いい香りがしてきそうです。家庭のイタリア料理が食べてみたいものです。舅さんが作られたものも、手に馴染んでおいしそうですね。見たこともないお料理ですが、見えた気がしました。

2014/10/16 (Thu) 16:06 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。プロシュートが天井からつる下がっている様子を見るのが好きです。丸ごと買う人もいますが、大抵の人は店先でスライスして貰うのですよ。薄く薄ーく切ってね、と付け加えて。イタリアでも上等なものは高いです。安いものは塩気ばかりが強くていけません。イタリア料理にしても何にしても、家庭料理が一番。と思う私です。

2014/10/18 (Sat) 00:12 | yspringmind #- | URL | 編集

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