停留所

DSC_0155 small


昼間はあれほど晴れていたのに、夕方大雨に見舞われた。大雨と言うか、土砂降りと言うか。旧市街の真ん中は、大水が流れ、屋根のあるところは人で埋まり、黒い雲のむこうでは雷が光り、何だか大変なことになったと誰もが溜息をついていた。本屋に入ろうにも本屋は人で一杯だった。私は車が切れるのを見計らって大通りを渡り、ちょうど来た13番のバスに飛び乗った。飛び乗った、と言うのは、それはまさに発車寸前だったからだ。私が乗り込んだ拍子にバスの扉が閉まったのだから間違いない。車内にはずぶぬれになった人が沢山いた。私はと言えば傘を持っていたから体も頭も濡れていなかったが、しかし足元は散々で、気に入りの靴が泣いているように見えた。ざぶざぶと音を立てながらバスが進む。フロントガラスをワイパーが忙しく行き来する。飛沫で前が見えなかった。そのうち旧市街を取り囲む環状道路を超えて市街地に入ると、雨が止んでいた。確かに何処も彼処も雨で濡れていたが、雨は既に止んでいたのだ。ずぶ濡れの人達は呆れて口が塞がらず、靴を強かに濡らした私は深い、それは深い溜息をつくしかなかった。ボローニャではよくあることだ。こういうときは、ついてないなあ、と頭を掻いて終わりするのが一番だ。

ブダペスト滞在の最期の夕方見た街の様子が忘れられない。ドナウ川を渡る少し手前辺りの大通りに面したバスの停留所は、家に帰る人達で混み合っていた。ようやくバスに慣れたのに今夜が最後かと思うと残念だった。このバスは何処まで行くの? ここで降りたいけれど、幾つ先なの? 少し前まで地元人らしき人をつかまえては質問をしたものだけど、最後には迷っている旅行者に教えてあげるまでに上達した。此処までは停留所が5つあるからね、なんて偉そうにして。この街の人たちが私を助けてくれたように。停留所に面したところにカフェがあった。一面のガラスに面してカウンター席が設けられていて、ひとりだけ女性が座っていた。黒のきらびやかな服を着て、耳には大きなイヤリング。短く切りそろえた髪。やせぎすでない、ゆったりした体系の彼女がとても優雅に見えた。何か口に運んでいたが、それは何だか分からなかった。ときどきボローニャの生活がが嫌になることがある。すると私は妙にブダペストが恋しくなる。それは多分こういうことだ。この街にはまだ、何か人間らしい気持が其処此処に残っている。大きな町だけど肩を怒らせて歩く必要もない。優しい気持ちとか、あたったかい気持ちとか、そういうものを感じる街。少なくとも私はそう感じるのだけれど、本当のところはどうなのだろう。街はどんどん変わっていくだろうか。でも、大切なことは変わってほしくない。変わって良いことと、変わらないほうが良いことがあることを忘れないでほしいと思った。

今日がたったの月曜日だなんて信じられない。一週間は始まったばかりなのに、私はもう週末を首を長くして待っている。


人気ブログランキングへ 

コメント

夜の写真はほっとします。街灯がオレンジだからかな。大きな建物ですね。
雨がたいへんだったんですね。

2014/10/14 (Tue) 16:03 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、私も夜の写真、好きなんですよ。ヨーロッパは街灯が殆ど何処の街でも橙色の街灯です。とても気に入っています。それにしたって最近の雨は、本当にひどいんですよ。

2014/10/15 (Wed) 23:56 | yspringmind #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する