いつもの自分

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ボローニャの守護聖人、聖ペトロニオの日である今日は祝日。ボローニャ市だけの祝日。たとえボローニャでもボローニャ県の、例えばピアノーロやサン・ラッザロはボローニャ市に隣接しているけれど祝日ではない。昔、そのことで近所の人に訊いたことがある。それではピアノーロの守護聖人の日は何時なのか、と。しかし地元の人達ですら首をひねる。さあ、そんなものは聞いたことは無いわねえ、と。大昔はあったのかもしれないけれど、もう忘れ去られているのかもしれない。そんな祝日の日、私は昼まで寝てしまった。朝、相棒が扉をバタンと閉めて外に出たのは覚えているが、それから先は全く記憶にない。私は疲れていたのだ。其の上、酷いアレルギーで閉口した私は昨晩薬を飲み、それがどうやら強かったらしく眠りに眠ってしまったと言う訳だ。それにしたって昼まで眠るとは。いつだったか、知人が言っていた。どうしたって6時間以上眠れない、昔はいくらだって眠れたのにねえ、と。私は際限なく眠ることが出来る。例えば昨晩は12時間眠った。眠るのは得意だ。逆に6時間睡眠では一週間を全うできない。そんなだから悩み事などで不眠症などになると手におえない。眠りたいのに眠れぬ苦しみ。普段にはない苦しみ。さて、12時間も眠った私は爽快な気分であると共に微かな罪悪感に似たものを感じながら、簡単な朝食をとると外に出た。外は快晴。こんな素晴らしい週末は、此れから数えるほどしかないだろうから。

ボローニャ旧市街は賑わっていた。土曜日であること、そして祝日であること。Piazza Maggiore では、この日を祝うコンチェルトが催されていた。沢山の人達。大音響の音楽。楽しそうなのはいいが、ちょっとボローニャらしくない。私の中のボローニャは、もっと質素で、もっと冷静で落ち着いているのだ。ボローニャは何年たっても変わらない、そう以前は確信していたけれど、どうやら日々変化しているらしい。私が覚えているボローニャと現在のボローニャはほんの一寸のずれがあるように思えるのは、単なる気のせいなのだろうか。そうならばいいけれど。私はボローニャに昔のままのボローニャでいて欲しいのだ。外国人が増えたこと、異文化を受け入れるようになったこと。決して悪いことではない。でも、ボローニャには質素で静かであってほしい。何故だか私はそんなボローニャが好きなのだ。喧噪を避けるようにして裏通りを歩いた。久しぶりに歩く道に私は安堵の溜息をつく。私にはこんな場所が似合う。ここに来れば私は自分らしさを思い出すことが出来ると思う。ボローニャに来て随分経った。暮らし始めた頃はいきり立っていた。外国人が少なくて何処へ行ってもじろじろと不躾に見られたから、そんな視線に負けるまいと私は酷く強がっていた。言葉が話せないと雑に扱われるからと、周囲の人たちと同じ勢いで話すこと、酷く小柄だから子ども扱いされぬようにと大きな声ではっきり自分の意見や意志を述べること。自分が望んでいることと違う方向に物事が運ぼうとしている時は、行く手を遮って言うのだ。ああ、駄目駄目。こんな風にしてほしいのよ。さあ! と。おかげで私は馬鹿にされたり騙されたり、あまり嫌な思いもせずに今まで来ることが出来たけど、そんな習慣がすっかり身について時々疲れてしまうのだ。私がこんな静かな、人のいない通りを歩く時、私がありのままの自分に戻れるような気がする。肩の力を抜いて。空に模様のようにして存在する美しい雲を眺めながら。足元の落ち葉を観察しながら。そして時々すれ違う見知らぬ人と小声で挨拶など交わして。

今夜は相棒が腕を振るって料理するそうだ。シチリアのスパイシーな腸詰ソーセージと山ほどのじゃがいもをオーブンでゆっくり焼くらしい。胚芽の入ったパン。とっておきのチーズ。近所の老人から頂いた赤ワイン。これと言って珍しいものはないけれど、自分が用意しなくていいことだけで充分嬉しいではないか。さあ、それにしても、相棒はいつ帰ってくるのだろう。そろそろ料理を始めないと、真夜中の食事になってしまうよ。


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コメント

いい写真ですね。暖色系の壁はちょっとずつ違うのですね。
ちょうどいいところに、自転車の人がいますね。
ジャガイモ、ソーセージ、おいしそう。

2014/10/05 (Sun) 15:26 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。ボローニャの建物の壁はこんなトーンでまとまっています。と言うのも、周囲とちぐはぐな色の壁の色は市から許可が下りないからなのですよ。家の持ち主がその色の範囲の中から好きな色を選ぶ、と言う訳なのです。
食事は大変おいしかったけれど、出来上がったのはもう22時を回っていたので次回はもう少し早めにしてねと注文しておきました。

2014/10/05 (Sun) 21:45 | yspringmind #- | URL | 編集

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