水の合う土地

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友人との再会は何時だって嬉しい。彼女と知り合ったのは23年も前のことで、私達はアメリカの海のある町にいた。彼女と私は性格も好みも違っていたから、もし私達が同時期にあの町に暮らしていなかったら一生知り合うこともなかっただろう。私達は互いが日本人であるという、唯一の共通点から知り合った。そういうことは外国にいると時々ある。そしてそんな共通点があっても肌に合わない相手とは少し経つとどちらからともなく遠ざかるものなのだ。だから、23年も付き合い続けているということは、性格も好みも違うと言いながら、肌に合う相手なのだろう、私達は。
友人が長く暮らしていたブダペストから他の国に暮らすようになって2年半ほどが経つ。暮らすと言っても一時的なことで、再び戻ってくるのが前提だった。その間、私がブダペストに近づかなかったのは、恐らくブダペストと友人の存在が強く結びついていたからだ。彼女が不在のこの街に立ち寄るのは何故か気が引けた、と言うとぴったりくる。兎に角、彼女が連れ合いと共に久しぶりに数日間だけブダペストに戻ってくると言うので、時期を合わせて私と相棒がブダペストを目指したのである。私も相棒も、彼女も彼女の連れ合いも、年齢がばらばらで好みも考えていることもばらばらなのに、何故だろう、私達は同じ湖に泳ぐ魚のように思える。言葉を交換しながら私達は沢山のことを共感したり学んだりしている。そんな感じが私は好きだ。彼女との話は笑いが絶えない。何故もこう可笑しいのか、私達は口を開けばお腹をよじらせながら笑ってばかりいる。多分私達は何事もストレートで、言葉を飾ることが無いからだろう。それとも私達の思考回路がストレートなのかもしれない。物事を難しくさせるのが嫌いな私だ。だから彼女と話をしていると肩の荷が下りたような気持になる。そんな友人を持つ私は幸せ者だ。

皆で温泉へ行った。英雄広場の背後に位置する大きな温泉。相棒がどうしても温泉へ行きたいと願っていたので、その誘いは全く有難い話だった。ハンガリーの湯は日本の湯に比べたら断然ぬるい。なのにそれが丁度よいと思えるのだから、人間とはその土地の状況に応じて変化していくものなのだろう。それほど歩いてもいないのに足が痛くてどうしようもないと言う相棒。温泉の湯につかりながら疲れが溶けていくと述べながら、全く満足な様子であった。私は久しぶりの相棒との旅が嬉しくて、相棒は久しぶりにボローニャを離れて解放感を味わってご機嫌で、その上気の合う友人たちと一緒に湯につかっているのだからこれ以上望むことは無かった。次はいつ来れるだろう。多分一年は戻ってこれないに違いないと思う私に反して、相棒は実に前向きだ。冬が来る前に戻って来ようと言う。それは確実に無理だとしても、そんな前向きな気持ちは悪くない。

数日間のブダペスト滞在だったから、あれもこれもと考えていたのに一握り程度のことしか実現できなかったけれど、満足感が残った。友人たちとは近いうちに、ボローニャで会えることだろう。何しろ私達がブダペストに夢中なように、彼らもまたボローニャにぞっこんなのだ。水が合う、という言葉があるけれど、ボローニャにしろブダペストにしろ、全く水が合う土地なのだ。

14時間もかけてボローニャに帰って来た。そんなにかかってしまった理由は、ハンガリーの田舎道を走ったからだ。既に枯れてしまったひまわりが何処までも続く畑の横を、収穫期を迎えたトウモロコシの畑の横を走りながら、これを収穫するのにはいったい何日かかるのだろうなどと言いながら。長旅で疲れたけれど、旅の土産と思えばよい。

明日からいつもの生活。頑張ってみようかな。


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コメント

なんだか、とても楽しそうでよかったですね。久しぶりに合うお友達とくったくなく笑ったりできるのは楽しいでしょうね。年を重ねてくるとだんだん表面的になってきそうで、若いときに素のままの自分と知り合った人は大事にしたいなと。
広いひまわり畑、とうもろこし畑。走ってみたいな。舗装はされてるんですか。どこまでもつづく丘はあこがれます。冬は刈り取られた畑に雪が積もるのかなと思いました。
ブダペストかあ、行くことはないだろうけど、近くなった気がします。想像しながら。

2014/09/22 (Mon) 15:59 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。思いのほか楽しい旅となりました。友人と話していると互いが住んでいる距離とか、様々なことをすっかり忘れて、毎日顔を突き合わせているような感覚になります。こういう友人は多く居そうでいないものです。体裁を考えずに、ストレートな気持ちで話ができる相手というのは、私にとっては宝なのです。
ハンガリーはブダペストを一歩出ると突然田舎になります。そんな道を車で回るのは楽しいものですが、今回は初めての道を使ってオーストリア方面に走りました。メインストリートなのにレストランもカフェもない村。郵便局と学校はあるにしても。そんな村を幾つも通過してはその間に広大な畑が広がる様子を堪能しました。冬は、真っ白になるのでしょう。雪が沢山降ると想像しています。

2014/09/23 (Tue) 21:57 | yspringmind #- | URL | 編集

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