秋物見つけた

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じきにいつもの生活が始まるのだ。そう思うと今日という日を満喫しておかなければならないような気がする。勿論いつもの生活も悪くないけれど、忙しい中あれもしなくてはと焦ることなく、あれもしておこうかな、此れもしておこうかなと思えるのは悪くない。ちょっとした余裕、というと大変聞こえが良い。実際そんなことは時間に余裕が無ければできない小さな事が日常には満ちているものだ。それにしても雨。朝方、雨が降り始めた音で目を覚ました。しかし強い雨ではなく、目を覚まして耳を覚ましても雨音など聞こえなかった。確かめるために窓の外を覗いて、ああ、やっぱり雨が降っているのだ、と分かったくらいだった。ならば何故私が雨の音で目を覚ましたのだろうか。それは理屈では言い表すことが出来ない、直感に似たものだったのかもしれない。もしそれが本当だったとしたら、私は雨と何か深い関係みたいなもの、があるのかもしれない。自分が気がつかないだけで。

雨が降っても外に出る。激しい雨ではない。静かに淡々と落ちてくる幾筋もの雨。傘を差せばよいだけだ。いつもの私らしくない。今日は雨に寛容だ。
最近バスに乗ると行きも帰りも乗車券のコントロールに遭う。タダ乗りをしていないかどうかのコントロールだ。8月はタダ乗りをする人がとても多いからだ。いつもはマンスリーパスを買うけれど、月の半分以上が休暇でバスを利用しないから、8月はパスを買わない人が多いのだ。其れなら普通の乗車券を買えばよいのだが、ついついズルをしてしまう、という人間の心理をついた乗車券のコントロール。何しろ乗車時に乗車券を見せねばならないわけでもないから、コントロールに遭わなければタダ乗りが出来てしまうのだけど、こうも頻繁にしていたら成功率は低いだろう。一台のバスにバス会社の検察員が4人も乗り込んでくるから抜け道などない。乗車券を持たないことを指摘されて、ああでもない、こうでもないとごねると、恥ずかしい思いをするので速やかに降参するのが良い。昨日は速やかどころか自ら乗車券が無いこと、次の停留所で降りるから一緒に降りて貰えないだろうか、そしたら直ぐに罰金の手続きをするから、と申し出た男性が居て、周囲を酷く驚かせた。驚きというよりも感動といったほうが良いかもしれない。そんなことを言われたら検察員も優しくしたくなるもので、自己申告を有難うございますとか何とか言って、次の停留所でふたりは仲良く下車した。罰金は普通乗車券の約40倍。馬鹿馬鹿しいからタダ乗りをしようなんて思わないほうが良い。乗車券を買うお金が惜しい時は、歩く。これしかないだろう。

旧市街の開いている店の半分はまだ夏のサルディを続けているが、それも仕方のないことだろう。例年ならばまだ残暑で夏物への関心が絶えない頃なのだ。ところが今年は意外に涼しくて、8月15日を過ぎるや否や気温が上がらなくなってしまった。昼間だって25度のこの頃は人々の気持ちが秋へと移り変わりつつあると言って良い。昨年だったら早くもショーウィンドウを飾る秋冬物を暑苦しいと嫌悪すら感じるというのに、今年に限ってはそれらがとても魅力的に見える。先取り。先取りは素敵だ。特に今年は先取りがいい感じである。とても高価で有名だが、同時にとても良いものを置いていることでも有名な俗に言うセレクトショップがボローニャの中心に在る。店の中は何時も顧客で賑わっているし、店から出てくる人々の手には店のロゴの入った大きな紙袋が下げられているから、この店に不況の風は吹いていないようだ。そして私はショーウィンドウを覘くだけ。一度中に入ったことがあるけれど、そして素晴らしいものを置いていることを確認したけれど、私には見るだけ、が丁度良いようだ。其の店のショーウィンドウで先日素適なものを見つけた。磨かれたガラスの中に飾られた秋物。厚みのある絹のブラウス、さらりとした絹の、奇抜な柄を施したパンツ。遊び心があってひと目で気に入った。足元は踵の低いかちりとした紐靴。黒い革は柔らかそうで、上品な艶を放つ。読めないような字で書かれている表示を目を凝らして読んでみたら、ドルチェ&ガッバーナ。こんな素敵なものを作り上げているとは今の今まで知らなかったので、感嘆の溜息をついた。感嘆の溜息は、その横に書かれた価格にも向けて。全然手が出ない。どんな人がこれを購入するのだろうと想像しながら店の前を退いた。何時の日か、こんな素敵な装いが似合う女性になりたいものだと思いながら。

ショーウィンドウを覘く。時にはとても刺激的で、自分を磨く素となる。


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コメント

乗車券の40倍の罰金とは確実に効きそうな決まりですね。
秋物のパンツ、はっとする柄、色ですね。リス、フクロウ、鳥?でしょうか。発色がきれいですね。

2014/08/24 (Sun) 13:35 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。40倍の罰金は馬鹿馬鹿しいでしょう?それなのに、きっとうまくいく!と信じている人達が案外いて、一台のバスの中に必ず4人ほどが捕まるのです。ところで検察している人達、コミッション制なのかしら、と疑いたくなるほど気合が入っています。
ところでこのパンツ、リスとフクロウなんて驚きでしょう?素適だけど着こなせる勇気があるかどうかと訊かれたら・・・難しいですね。この奇抜なパンツに負けないくらいの個性を持たねば。イタリアにはこんなのを気軽に着こなす女性が沢山いるというのが驚きなのです。

2014/08/24 (Sun) 16:21 | yspringmind #- | URL | 編集

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