いつもの顔

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金曜日。休暇先から多くの人が戻って来たらしく、バスが通る大通りの交通量は昨日の2倍だろうか。バスの本数は相変わらず少なくて不便この上ないけれど、確実に街に活気が戻ってきたことを私は嬉しく思う。多分、楽しかった休暇を終えて街に戻ってきた人たちにしてみれば、楽しかった休暇が終わってしまったこと残念に思っているに違いないのだけど。私などは街に取り残された側だから皆が町に戻ってくるのを、いつもの顔を見ることが出来るのを嬉しく思うと言う訳だ。もっともいつのの顔ぶれが無いことを寂しく思っていた訳ではない。久しぶりに見て、ああ、嬉しいな、と思ったことに、実を言って自分でも驚いているのだ。

旧市街は賑やかさを増したが、私が待ち焦がれている店はまだ休暇が終わらない。どんな店かと言えば生地屋さんだ。この店には暫く行っていなかったが、此処に来てどうしてもこの店に用がある。私はカーテンの生地を購入したいのである。今度の家の窓の大きさが全然スタンダードでないので今までのものでは合わないのだ。それでカーテンを縫ったりソファの布を張り替える専門職人である友人のルイージに頼もうと思っていたが、彼はカーテン作りからは手を引いたとのこと。すべて他の職人に仕事を回してしまう程の徹底ぶりで、速やかに諦めねばならなかった。それでも彼は大窓用の生地を一枚プレゼントしてくれたので、昔彼が作ってくれたものを参考にしながら縫ってみたら、思いのほか上手に仕上がった。それで他のも自分で作ろうを思うようになったのだ。しかし生地屋さんが休みではどうしようもない。この、有り余る時間を有効に使おうと思ったのに。今週中に作ってしまいたかったのに。それにしても引っ越して、ひと月以上が経つのにカーテンが無いとは。母がそれを知ったら驚くだろう。外から家の中が丸見えなのはよくない、と。同感だ。しかし幸運なことに幾つかの窓の前には樹木があって外部からの視線を遮ってくれるのだ。樹木が無いところも心配はない。何しろどの家も休暇で留守だったのだから。そんなことを言ったらば、母はますます驚くだろう。不用心。直ぐにつけなさい。母に言われそうなことはすぐに想像がつく。こんな大きな大人になった今でも、母には頭が上がらないということか。

旧市街に位置する生地屋さんはまだ休暇中だが、家の近くのシチリアの店が休暇を終えて店を開けた。この店のシチリアのパンは美味い。本当は別の名前があるに違いないが、私と相棒、そして近所の人達はそんな風に呼んでいる。ほんのり甘いパンの生地。中には様々な野菜が入っているのだけど、ピリリと辛い。ほんのり甘いのとピリリと辛いのが絶妙で、この辺りのボローニャ人達のハートをつかんで離さない。立ち寄って訊いてみると、シチリアのパンは16時に焼き上がる予定らしい。16時ね。そう、16時よ。シラクーサ出身の若いハツラツ美人さんが、そう言って私にウィンクしてくれた。

あ、もう16時じゃないの。無くなる前に行かなくては。


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コメント

カーテンやソファの職人さんがいるのがイタリアらしいですね。カーテンで思うのが、イタリアのレストランのカーテン使いが、長く長く真紅の物が石造りの建物からドレッシーに垂れ下がっていて、その圧巻ぶりにカーテンは洋の物だなと思ったことがあります。

2014/08/22 (Fri) 16:01 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめやさん、こんにちは。そう言われれば、カーテンやソファの職人さんは実にイタリアらしいですね。あまりに日常化していたために、すっかり忘れていましたよ。思い出させてくださって、ありがとうございます。ところでカーテンですが、イタリアには実に沢山の種類のカーテンが存在するのです。本当に沢山。昔、ボローニャに暮らし始めた頃、カーテンのことで驚いたことがありましたっけ。つばめさんが言うように、カーテンは洋の物、なのでしょう。

2014/08/23 (Sat) 18:58 | yspringmind #- | URL | 編集

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