昼下がり

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涼しかった7月が恋しいと思うくらい、突然やって来た暑さ。ボローニャに暮らす私達はそんな暑さに慣れていると自負しているというのに、今年に限っては暫く続いた涼しさに体が甘やかされていたから、上手く順応できない。たった32度と言うのに、私は夏の休暇早々ダウンしかけている。そう言えばクリスマス休暇から纏まった休みが無かったし、今の家を見に来てから7月に入居するまでの数か月間、いろいろ神経と体力を消耗したし、そう言えば仕事も忙しくて息をつく暇もなかったし。と、疲れる要因は幾つもあったらしい。多分、休暇に入ってほっとしたのだろう。ほっとした途端に疲れが噴出したに違いない。

風が吹いて涼しそう、と思って外に出たら酷く暑かった。明るい緑の木の葉を揺らしていたのは熱風で、日差しは強く、歩き始めて直ぐに汗が流れた。そんな中、旧市街に行こうと思ったのは第二週の土曜日だからだ。旧市街の骨董市。8月は休みだっただろうかと昨年のことを思い出してみるが思い出せなかった。其れで取り敢えず行ってみることにしたのだ。いつもの冷やかしではない。私にはれっきとした目的があったのだ。ベッドの横に置く小さなテーブル。うちにひとつある鉄製の小さなテーブルと似たようなもの。元々はそれ用に作られた訳ではないにしろ、ベッドの横に置いてみたら大変良い感じだったので、似たようなもうひとつを探していると言う訳だ。新品ではいけない。これは古いから味がある。今うちにあるひとつは既に100年近く経っている。はじめは埃っぽくて毛嫌いしたものだが、埃を落としてきれいに拭いて、さらにワックスで磨いてみたら驚くほど感じがよくなった。何時の頃かオレンジ色にペンキが塗られていたらしく、ところどころにオレンジ色の塗料がしがみついている。其れすらもいい感じに見えるのは、私達が大そう気に入っているからに違いない。他の人達が見たらば、案外ただの古道具に見えるのかもしれない。兎に角そう言う訳で、私は骨董市に用があったのだ。しかし旧市街へ行ってみると案の定骨董市の姿はなく、そうかもしれないと予想はしていたとはいえ、まったく残念であった。覚えておかねばならぬ。8月な骨董市も夏休みなのだと。それにしても暑かった。週末の旧市街の中心は車両通行止め。道のど真ん中を堂々と歩くことが出来ると言うのに日差しの強さに辟易して、誰もがポルティコの下を好んで歩いた。このポルティコが無かったら、ボローニャの生活はあり得ないのだ。夏ばかりではない。冬や雨の多い時期も、私達はポルティコの存在に感謝するのだ。向こうのほうから美しい音色が聞こえてきた。4人組が美しい音楽を奏でていた。暑さを一瞬忘れるような音色。見た目はその辺の人達なのに、楽器を操る姿は神聖だ。通行人たちは足を止めて耳を傾け、小さな子供がふたり音楽に合わせて踊り、私は此処に来ることが出来たことに感謝しながら音楽を堪能した。と、背後の女性が連れに言った。休暇の始まりにふさわしい、と。ああ、この女性も今日から休暇なのかと思いながら、実にその通りだと思った。夏の休暇のセレモニー。休暇だから急ぐ必要はない、暫くここで音楽を堪能しましょうと言う彼女に、連れの男性が同意した。私もまた、心の中で、そうね、急ぐ必要はないからもう少し音楽を楽しみましょう、と返事をした。此処にいる皆で、休暇の始まりを分かち合うのも悪くない。そんなことを思いながら。

子供の頃から昼寝が嫌いな私は、どんなに疲れていても昼寝が出来ない。けれども今日に限っては、大窓から入り込む風に吹かれながら小一時間眠った。音楽に神経が和らいだからなのか、単に休暇と言う言葉もマジックか。子供の頃眠ったふりをして様々な空想を繰り返していたのとは違う、深い眠り。昼下がりの良い眠りだった。


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コメント

いい写真ですね。暑さが戻りましたか。音楽が聞こえてきそうです。Tシャツの色もまぶしい。ポルティコは暑さ、寒さを和らげてくれるんですね。湿気がないとよく聞きますが、本当でしょうか。こちらは、しばらく台風の影響でしっとり降ったり止んだりでしたが、ようやく太陽が出てきました。お盆休みでも、まだまだ台風で大変な地域がありますが。
今日、スーパーに行くと、井上陽水の少年時代が流れていまして、あー夏なんだなと思いました。同じ音楽でもえらいちがいですが、音楽はいいですね。

2014/08/10 (Sun) 13:44 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、ボローニャの夏らしく、暑い毎日です。日本からくる人達は湿度が低くて過ごしやすいなどと言いますが、湿度は60パーセントほどありますから蒸し暑いですよ。何しろ盆地ですからね。ポルティコなしではボローニャの生活はあり得ません。気候の点から言えば、ボローニャはイタリアの中でもトップに名を掲げられる恵まれない町なのです。
音楽はいいですね。私はこういう人達を見かけると10分ほど足を止めて聞き惚れます。そして惜しまぬ沢山の拍手と、ほんの心付けを。

2014/08/10 (Sun) 23:18 | yspringmind #- | URL | 編集

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