やせっぽちのアスパラガス

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雨が降ると思って傘を携えて家を出れば降らず、今日は良い天気になりそうだと思って出掛ければ大雨に遭う。最近、空との相性が今ひとつらしい私は、じれったくて仕方がない。もう少しすれば天気が安定するのだろうか。夏型気候になるのだろうか。最近の私達の関心と言ったら、空の様子ばかりである。

さて、今日は雨に降られず、鞄の中の小さな傘が恨めしく思えるような快晴。夕方があまりに明るいので、仕事帰りに旧市街の市場に立ち寄ってみた。今は野菜も果物も豊富で兎に角美味い。店先を覗いて歩くだけだって楽しい。それが初夏である。私の好物はアスパラガス。綺麗な緑のぷっくり太いのも美味しいけれど、もっと格安の細いのがよい。緑は太いものよりも更に濃くて見るからにビタミンが豊富そう。何しろ細いので、すぐに茹で上がる。其のまま頂くのもいいけれど、さっと茹でて、刻んだ新鮮な大蒜とソテーして、絶妙のタイミングで茹でたパスタに和える。そして食べる直前にポルトガルで買ってきた塩をパラパラと散らしたり。これに上等の赤ワインがあればこれ以上ご機嫌なことはない。そういう私を相棒は、安上がりでよいと笑うけど、そんなことくらいで喜べる単純な性格を私は案外気に入っているのだ。昔、ローマに暮らしていた頃、友人の家に連れて行ってもらったことがある。そこはローマから北に車を走らせたところにあるヴィテルボという町だった。もう直ぐウンブリア州ということもあって、緑の濃い小高い場所に町は存在していた。旧市街には手つかずのと言っても良いような中世の建物が残っていて、しかしそれはローマともボローニャとも違う、神秘的な印象のものだった。私達は人々が寝静まったような時間に旧市街に繰り出して、ひと気のない道を足音を立てないようにしながら歩いた。足音を立てないようにしたのは、何かそうしなければいけないような雰囲気が漂っていたからだ。昼間、私達は野に繰り出して野生のアスパラガスを探しては摘み取った。それはひょろりと細長くて、店で売っているものよりも更にやせっぽちだった。こんなの、美味しいの? と訊く私に友人は、そうなの、美味しいの、と言ってせっせと摘み取った。結構な収穫だった。その晩、友人の家で野生のアスパラガスを食べた。確か塩の湯でさっとゆでただけだった。それは私が今までに味わったこともないような美味しさで、あれほど沢山あったと言うのに友人と友人の父親と私の3人であっという間に平らげてしまった。あれが初めで最後だった野生のアスパラガス。ボローニャ辺りでも探せばあるのだろうか。例えば標高500mほどの辺りまで行けば。それともやはりあれはヴィテルボならではのものなのか。人だかりのある店で細いアスパラガスを買った。旬とあって売れるのが早いようだ。最後の一束だった。そして甘い匂いのする杏子を山盛り買った。今夜は季節の美味しい夕食と相棒に宣告したら、アスパラガスだなと言い当てられた。彼もまた、細いアスパラガスが好物なのだ。

美味しい夕食と何時までも明るい初夏の空。気分の良い晩である。

 
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コメント

なんだかふわっとした気持ちのよさそうな夕方ですね。
アスパラつみ、夜の散歩、楽しそう!

2014/05/30 (Fri) 06:16 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。あれ以来ヴィテルボには足を運んでいないけれど、もう一度訪れたい場所です。あの町を訪れた人は、多分みんなそう思うに違いないのです。ヴィテルボの魔法。そんな風に言うと丁度いいでしょうか。

2014/05/30 (Fri) 22:32 | yspringmind #- | URL | 編集
野生のアスパラガス

はじめまして!

私も野生のアスパラガス、大好き!でした……
でした、と過去形なのは、昨年、たくさん食べた折、アレルギーを起こしたからです

最初は喉の辺りに違和感が…
最終的には、舌がズタズタ状態に。痛くて食事が摂れませんでした

野生のアスパラアレルギー、かなり多いそうです。くれぐれも食べ過ぎにはご用心を!

2014/05/31 (Sat) 12:34 | カルラ #7.IRtUJw | URL | 編集
Re: 野生のアスパラガス

カルラさん、はじめまして。
野生のアスパラガスでアレルギーですか。確かに野生のアスパラガスはアクが強いように感じましたが。私はもともとアレルギー体質なので、気をつけねばなりませんね。ご注意有難うございました。それでは店で売っいるもので満足することにしましょうか。

2014/05/31 (Sat) 22:29 | yspringmind #- | URL | 編集

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