初夏の入り口

DSC_0014 small


今朝、蒸し暑さで目が覚めた。それは日本の梅雨時を思い出させるような、肌に纏いつくような暑さだった。いつもならば目覚まし時計の音に叩き起こされて目が覚めるが、鳴る前に目が覚めたのだから、いかに寝苦しかったかが窺えると言うものだ。こんなことは今年初めてのこと。それが、私達が初夏の入り口に居る証拠でもあった。
朝から空には分厚い雲が立ち込めていた。今日は雨が降る予報が数日前から出ていたから、そんな空が当たり前に見えた。丘の方にはさらに濃い色の分厚い雲が敷き詰められていて、街中よりも一瞬早く雨が降り始めているようだった。ところが雨は何時まで経っても降らず、それどころか昼を過ぎる頃には太陽が輝きだし、結局一粒の雨も降らなかった。薄手のコットンセーターが恨めしいくらい暑かった。

そういえば19年前の5月24日に私と相棒はアメリカからボローニャに引っ越してきたのだ。相棒にとっては故郷に帰って来たと言うのが正しいが、私にとってはまさに引っ越してきたと言ったらぴったりくる。ごく自然に決まったことでありながら、しかし自分の中では大変な冒険だった。大好きだったアメリカを離れることを友人たちは酷く心配してくれたから、彼らを安心させる為にそんな素振りのひとつも見せなかったけれど。そんな私だったがボローニャの空港に降り立つと自分のそんな強がりは海の塩の一粒にも値しないことに気がついて、明日にでも挫けてしまいそうだった。私は強く若かったが、そんなことは何の意味も持たなかった。見るからに外国人と分かる私は、その後沢山の好奇の視線の洗礼を受けるわけだが、それにしてもその好奇の視線は私が想像していた以上に神経を刺激して、時には荷物を纏めて此処から去ってしまいたくなるほどだった。あれから19年かと思うと、奇跡にすら思える。私が逃げ出さなかったこと。すべてを諦めてしまわなかったこと。アメリカを離れたことを私は後悔していない。

夜風は思いのほか冷たくて、半袖シャツから出た素肌に突き刺すようだった。夜風。気持ちの良い響きだ。其れすらも初夏の始まりに思える5月下旬。


人気ブログランキングへ 

コメント

ysprigmindさんは、つよい方だなと思います。私も若い頃は海外に住みたいと思いました。実際住まわれた方々の乗り越えられた道のりは本当にたいへんな部分もあって、れぞれが自分のやり方を見つけられたのかなと想像します。
5月もおわりに近づきますね。

2014/05/24 (Sat) 08:53 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。いいえ、私は強くないのです。多分私には、逃げ出す勇気も降参する勇気も持ち合わせていなかったのではないかと思うのです。しかし、おかげで短気を起こすことなく、今もボローニャに存在します。此れでよかったのだろうと思います。5月がすごい駆け足で過ぎて行こうとしています。こんな短い5月は未だかつてありませんよ。

2014/05/24 (Sat) 23:57 | yspringmind #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する