好きなこと、好きなもの

DSC_0016 small


旧市街をでて直ぐ其処に在る楽器店。この店は随分前からある。そもそもボローニャに楽器店はごく少ないようで、だから楽器を買い求めるようなことがあれば大抵誰もがまずはこの店を思い浮かべる。間口は狭いし、外観も洒落ていないし、しかも旧市街を囲む環状道路のすぐそばで交通量の多い道に面している。それだから何んとなく雑多な印象のあるこの店だが、何年か前から隣に音楽教室なるものが設けられて、案外活気があるのである。そしてこの音楽教室の前を通るのを楽しみにしている人は案外多いはずなのだ。例えば私は帰りのバスの中から全面ガラス張りのこの教室を覗くのを楽しみにしているのだけど、他の常客もそうらしくバスの中から教室の様子を覗き込んでいるといった具合に。仕事帰りの夕方の時間には小さな子供たちのロック教室が開かれている。年齢は6歳くらいからせいぜい10歳といったところで、それでなくとも何をしていても可愛く見える彼らがドラムを叩いたり椅子に座ったままぎこちない手つきでギターをかき鳴らす様子を見れば誰だって思わず微笑んでしまうと言うものだ。前にこんなことがあった。バスが信号待ちでちょうど音楽教室の前で暫く停止した時のことだ。子供たちがビートルズを奏でていた。演奏は大音響だったからバスの中にまで聞こえてきた。通行人たちは足を止めて、私たちバスの乗客は窓にへばりついて子供たちを見守った。そうして演奏が無事に終わると子供たちはとても嬉しかったらしく、歓声を上げて一斉に立ち上がった。演奏はまだまだ修正の余地ありだったけど、多分彼らは初めて最後まで通して演奏したに違いなく、彼らの喜びようは尋常でなく、見ている私達まで嬉しくて聞こえるはずもないのに拍手が沸き起こった。子供たちは何かをやり遂げた喜びで興奮していたが、私たち大人は、自分たちが彼らの年齢だった頃のことを思い出して、ちょっぴりセンチメンタルな気分に浸っていた。こんな風にして、子供たちは夢を持つのかもしれない。こんな風にして夢を追いかけていくのかもしれないと思いながら。

金曜日の夕方は真直ぐ家に帰れない。何か勿体ないような気がするのは私だけだろうか。それで少しウィンドウショッピングを楽しんだ。そうしたら、うっかり気になるものを見つけてしまった。うっかりしたのはそればかりではない。水曜日の満月を見過ごしてしまったことだって。


人気ブログランキングへ 

コメント

子供の目の輝きは本当にずっと持ち続けてほしいですよね。演奏ができた!って、声が出るほどうれしいって、もともと子供が持ってる感性なんでしょうね。

2014/05/17 (Sat) 06:47 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。子供たちが夢を持って成長していくのはとても素敵なこと。夢を追い続けるのは難しいこと、実現するのも難しいこと。でも忘れないでほしいですね、何時になっても、大人になっても。この子供たちのとび上がりような喜びの表現は、バスに乗っていた私たち大人を酷く感激させてくれました。やった!やった!私達までそんな気持ちになりましたよ。

2014/05/17 (Sat) 20:02 | yspringmind #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する