典型的なボローニャのジェラート

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朝の冷たい空気が嘘だったように気温が上昇した一日。月曜日は憂鬱だけど、空が明るいと月曜日も悪くない。思い切り仕事をして、しかし就業時間とともに外に出た。月曜日から遅くまで職場でぐずぐずするものではない。潔さが大切だ。それが最近の習慣だ。帰り道が楽しい。少し前の暗い帰り道を思い出すことが出来ないほどの明るさ。それでよい、それでよい。私達は良い季節を迎えたのだ。

旧市街に着いたところでふと思いついてジェラート屋さんに立ち寄った。いつもの店ではなく、2本の塔から少し行ったところに在る小さな店。近くを歩いている時に思いついて立ち寄る店だ。頻繁に行く客ではないのに、店主が顔を覚えてくれている。理由はマンゴーだ。一昨年まで夏場になるとマンゴーのジェラートが並んでいた。私はそれが好物で行くたびにマンゴーを注文していた。ところが昨年はマンゴーが無かった。幾度行ってもマンゴーが無い。聞いてみればブラジルのマンゴーを輸入している業者が、店を閉じてブラジルに帰ってしまった。それで美味しいマンゴーが手に入らなくなってしまったとのことだった。残念ねえ。と言う私に、残念なんだよ、と店主は嘆いたものだ。そんなことがあって私はマンゴーが無くて残念な客、と記憶されたらしかった。先々週立ち寄った時、今年もマンゴーは手に入りそうにないのかと訊いてみると、どうやら今年は良い業者を見つけたらしく、熟れて甘くて美味しいマンゴーが手に入る予定だと言う。それは良かったと手放しに喜ぶ私に、しかし店主は言うのだった。いやいや、まだわからない。直前になるまでこればかりは分からないんだよ。予定通り事が進むことを願うばかりだ。それで私が店内でジェラートを堪能しているとアメリカ人の女性客がやって来た。典型的アメリカ人と呼びたいような女性だった。彼女は袖なしのひらひらした黒いドレスを着て、踵のものすごく高いパンプスを履いていた。そして腕には革のジャケット。まるで映画やテレビのシリーズものから飛び出してきたような華やかな雰囲気の女性だった。それで彼女は言うのだ。何か典型的なボローニャの味のジェラートを2種類。店主と私は一瞬目を合わせて驚いたが、彼女は本気でそれを望んでいるようだった。店主は考えた挙句、数種類の味の名前を挙げて其の中から彼女に選ばせた。マスカルポーネとピスタッキオを大きなカップに盛り付けて手渡すと、彼女は感激して店を出て行った。一瞬間をおいて、今の質問はなかなか難しかったねと店主に声を掛けると、あんな注文は初めてで答えに困ったと笑った。でも、と思い出したかのように店主は言う。ボローニャの典型的なジェラートの味はクレーマなんだよ。それで思い出した。そうだ、ボローニャにはバニラ味と言うのが存在せず質の良い卵の黄身を練り込んだクレーマなのだ。老若男女ボローニャ人はこのクレーマが好きで、此処にに暮らし始めた頃クレーマを選ばない私に何故クレーマを選ばないのか、こんなに美味しいのに、と色んな人から聞かれたものだ。そんなことを思い出しながら、ああ、成程ねえと頷く。それにしても実にアメリカン人らしいアメリカ人だったね、と言う私に、店主は深くうなずきながら同意した。テレビの画面から飛び出してきたような装いだったね、と。私達は同じようなことを考えていたようだ。いや、案外本当に、彼女はテレビから飛び出してきた人なのかもしれない。ひょっとして、ひょっとしたら。


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コメント

なに味でもよいので食べてみたいものです。日本でもピスタチオやヘーゼルナッツ味も食べられますが。空気が違うとまた味わいもちがいますね。
クレーマですか。ハーゲンダッツの味をもっと卵の黄身混ぜたような味ですかね。マンゴー食べれますように!
振り返ってみるような女性、ほー。

2014/04/08 (Tue) 14:11 | つばめ #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。私が思うにボローニャのジェラートは美味しいです。店の数が多いから互いに競っている感があります。店の奥でジェラートを作っている店がほとんどなんですよ。クレーマはとろりとほんのり甘い、と言うの私の感想です。確かに美味しい。でも私はピスタッキオとマンゴーが好きなんですよ。
あの女性はきっと女優に違いありません。

2014/04/09 (Wed) 22:14 | yspringmind #- | URL | 編集

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