微妙

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4月というのは微妙な心境になる月だ。学生だった頃はその心境はさらに複雑で、例えば新しい学校の仲間と上手くやっていけるだろうかとか、職場にうまく馴染めるだろうかとか、そんなことに心を大いに揺らしていた。そんなことが大昔のことに感じるほど年月は経ち、学校へ行かなくとも、職場が変わらなくとも、4月が微妙であることには変わりない。何故なら4月とはそんな空気を含んだ月だからだ。新しいことを始めようと言う気はない。私は昔から新しいことが9月に始める習慣があったからだ。それは別にアメリカに暮らすようになってからのことではなく、思うに小学生の頃からの習慣だ。傍から見ればぼんやりしているように見える私だったが、夏の間に様々なことを感じ考え、そして悟り、9月の声を聞いた途端に新しい気持ちで何かを始めるのだ。それだから4月の微妙さは新しいことを始めると言う意味合いはない。例えて言えばメランコリーな心境だったり、戸惑いだったり、心配だったり、矛盾だったり。長い冬を終えて迎えた春を手放しに喜べば良いものの、その背中合わせに一瞬つまらぬの感情が存在する。それが私の4月だ。

そんな4月に、私には楽しみにしていることがある。それは引っ越しだ。15か月前にピアノーロの家を売ってボローニャ市内の一時凌ぎの家にやってきて以来、私と相棒は自分達に似合う家を探していた。昨年の今頃此れと言うのが見つかりオファーしたら、横から高額オファーが割り込んであっという間に持ち去られてしまった。あれ以来、私は少し意気消沈し、だからもう暫く仮住まいでもいいようにと、もう少し広くて太陽の光が入る明るい今の家に引っ越したのだ。私も相棒も、家探しに疲れていたし、何だかどうでもようなっていたのだ。それがこの冬、この界隈に小さな家を見つけた。見に行ってみると便利な場所にしては静かで、窓が沢山あって明るくて、2人暮らしに丁度よい広さだった。しかもその建物には相棒の気の知れた知人家族が住んでいて、何か運命的なもの、ポジティブなものを感じた。そうして私達はこの家に決めて、交渉が今度こそうまくいって、もう直ぐ正式な売買手続きを公証人のもとで行うことになった。勿論、此れが済むまで安心はできない。誰かが高額のオファーを持ち込んで来たら、一年前と同じように残念でしたと終ることだってあるのだから。私は古いしきたりや迷信は信じないけど、決めたのだ。家の契約が済むまで、どんなに新しい靴が欲しくても、どんなに春らしい美しいスカーフが欲しくても、何ひとつ買うまい、と。そういうことで神様に、だから今度こそ契約が無事に済むようにお願いね、と頼んでいるとようなものだ。神様が知ったらきっと怒るだろうけれど。やはり今年もほんの少しの心配が背中合わせの、微妙な心境の4月である。

ところで気がつけがボローニャは美しい若草が一杯。何時の間に。多分私が咳に病んでいて外を歩き回らぬうちに若草が萌えたのだろう。時折咳をしながら歩く私に新緑たちが笑っているようだ。やあ、君。まだ咳をしているのかい。もう春だと言うのに。


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コメント

yspringmindさん、こんにちは。私も家がなかなか家が決まらず、仮のアパート住まいでその仮アパートの期限切れの日にようやく見つかりました。こちらは売り手市場で不動産屋に連絡しても返事がないとか殿様商売の不動産は当たり前でかなり苦労しました。ボローニャもそうですか?物件下見に沢山の現地の人が来るとあーもう駄目、と退散したりしていました。外国人(東洋人?)ってこういう時、不利だなぁ、と思ったものです。今度の家は家具なしなのでゼロからのスタートでまだまだ大変な日が続きそうです。お家が無事に決まるといいですね。

2014/04/10 (Thu) 06:14 | TSUBOI #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

TSUBOIさん、こんにちは。やっと売買契約が済みました。イタリアはここ数年酷く不景気で、家の値段がだがって居ます。しかし買い手の方も不景気なので、家が安くなっていても買う人が居ないと言うのが現状なんですよ。だから、買い手が強い。電話で問い合わせなどしようものなら、毎日連絡がきますよ。しかし気に入った家を探し当てるのは難しいものですね。どんな家でもいいって訳にはいきませんからね。家とは寛ぐ空間ですから、やはり慎重に行くのが良いでしょう。新しい家での生活、楽しみましょうね。

2014/04/11 (Fri) 21:26 | yspringmind #- | URL | 編集

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