土曜日が好き

DSC_0011 small


1月が駆け足で過ぎていった。つい最近シャンパンの栓を抜いて新しい年のお祝いをしたばかりのようなのに、と相棒がぼそりと呟いていたが、全く同感だった。それでいて長い時間が経っているような気がするのは、その間に様々なことがあったからだ。良いことあり、つまらないことあり。それらを全て纏めて、わりと良いひと月だったと思えるのが私の幸運である。

今朝はゆっくり起きた。昨晩強いワインを頂いたせいだ。プーリア地方で作られたよく寝かせたデザートワイン。15度+4度と表示されていたとおりだった。小さな小さなグラスにふたくち分だけ注ぎ、口に含んでみたらその美味しさと強さに驚いた。此れのおかげで深い眠りにつき、目を覚ましたら空がすっかり明るかった。雨が降っていない土曜日に、家でじっとなどしていられない。歩きやすいブーツを履いて、首元に気に入りのシルクの襟巻を巻き付けて家を出た。それにしても最近視力が落ちたようだ。散策の時には眼鏡を掛けなくてもなんの支障もなかったのに、いや、少しぼやけて見えるにしても不便なことはなかったのに、眼鏡が無いと目の前にいる友人にすら気がつかない。これを私は仕事のし過ぎと呼んでいるが、どうだろう、私の同僚たちは同意してくれるだろうか。兎に角、そんな訳で今日は眼鏡をかけて歩いた。昨夏日本で作った気に入りの眼鏡。少しも女っ気のない、堅物風の素っ気ない眼鏡。昔見た映画の中の女性がしていた眼鏡によく似ている。ずっとこんなのを探していたから、見つけた時に迷わず決めた。これ。これは私の眼鏡。眼鏡をかけたら世界が鮮明に見えた。私は今まで色んなことが見えずに歩いていたのかもしれない。そう思ったら酷く可笑しくなった。眼鏡をかけて歩いてみて初めて気がついた。色んな事を見ていたような気がしていただけなのかと思って。空に大きなシャボン玉。此れも眼鏡をかけていなければ気がつくこともなかっただろう。歩いているうちに小腹が空いた。いつもならエノテカイタリアーナでパニーノとワインで済ますところだが、今日に限ってはテーブルについて昼食をとりたくなった。しかしあと少しで14時で、レストランや食堂に入るのは遅すぎる時間だった。さてどうしたものか、やはり今日もエノテカイタリアーナか、と思いながら歩いていたら思い出した。そうだ、あの店はどうだろうか。それは昔から古いポルティコの下にある店。私は単なるバールと思っていたが、実はパン屋さん的存在であり、美味しいお菓子や手打ちパスタも販売していた。あまり商売っ気が無いのか内装も外装も実に素っ気なく、そして古臭く、初めての客が好んで入るような店ではなかった。ただ、ショーウィンドウに並んでいた生パスタが実にいい感じで、前を通るたびに足を止めずにはいられなかった。その店が急に美しくなった。テーブルが幾つも並び、中で色んなものを頂けるようになった。ワインだけでも良いし、カッフェだけでも良い。菓子を持ち帰ることもできるし、手打ちパスタを中で食することもできる。12月ごろからとても気になっていたのだが、何となく入らずにいたけれど。店の名はSOVERINI。前と同じ名前だった。席に着くなり店の人に訊いてみたら、新しくなったけれども同じ家族が経営している、前と同じSOVERINIなのだと教えてくれた。私は小腹を宥めるには随分と重いラザーニャと赤ワインを注文した。少し待つと熱々の大きなラザーニャが出てきた。美味しかった。今までどうして足が向かなかったのかが惜しまれてならなかった。あっという間に平らげた。先客たちが店を出る都度店の人に声を掛けた。とても美味しかったよ、ありがとう。誰もが満足しているようだ。多分新しくなったこの店に関心を持ちながらも多少なりとも不安を持って入ったのだろう、私のように。兎に角私の舌とお腹は大変満足し、また近いうちに寄るからと言って店を出た。お腹が満たされたが懐はあまり痛まなかった。私にぴったりの店だった。近いうちに、今度はトルテッリーニを注文することにしよう。外に出ると人混み。それを上手くかわしながら新しい知人との待ち合わせ場所に向かって歩き出した。

良い土曜日。土曜日はやはり一週間で一番楽しい。


人気ブログランキングへ 

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する