新しくて古い感覚

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昨日まで12月だったような気もするし、1月になってもう随分経ったような気もする。私の1月は何か自分以外の人、モノ、事柄の竜巻のようなものに巻き込まれて過ぎていく。1月下旬になって、ふと後ろを振り返ってみる。面白いことに殆どのことを覚えていない。それで良かったような、覚えていないことが少し残念なような。それにしても体調を一定に保つことの難しいことと言ったら。此れほど不安定なことはあまりなく、自分で自分をコントロールできないことに苛立ちを感じさえする。毎朝目を覚ます時に思う。今朝の私は元気だろうか、と。酷い風邪を引いているでもない、寝込むほど疲れている訳でもないけれど。冬の真っ只中と思っているが、別の方向から眺めてみたら案外冬から春へと移りつつあるのかもしれない。季節の変わり目で身体が敏感になっているのかもしれない。

昨夕、旧市街の小さなワインの店に行った。この店を知ったのは先週のことで、友人が何かの話のついでに教えてくれたのだ。頻繁に前を歩いているにも拘らず、私は全然気がつかなかったのだ。教えられたとおり行ってみると、そこには小さな入口があった。そこは昔美容院だった場所で、何やら秘密めいたその入り口から中を覗いたことがあることを思い出して懐かしく思った。結局その美容院には一度もいかなかったが、私はその場所が何か特別なような気がして入り口の前を歩くのが好きだった。一体あの店はいつまで続いたのか。とっくの昔に止めていたのかもしれないし、数か月前まで続いていたのかもしれない。私の生活が忙しくなるにつれて店の入口への関心も薄れていったから、そして店の存在自体が目立たなかったから、周囲の友人知人に訊いても誰も知らない。それが少し悲しかった。さて、11月にオープンしたばかりだと言うこの新しいワインの店を、私はたいそう気に入った。何しろBIOなのだ。有機栽培の葡萄から作ったワイン。酸化防止剤や防腐剤が一切入っていないワイン。この手の添加物にアレルギー反応を示す私は、こんなワインの店をずっと待っていたのである。店内で試飲をすることができる。グラスワインを注文することもできる。ワインを購入することもできる。だけど一番嬉しいのはワインを量り売りしてもらえることだ。ボトルに詰めて貰えるのだ。赤ワインが二種類。白ワインも二種類。ワイン農家のワインを持ち込みのボトルに入れてくれるのだ。75MLで3ユーロ50セント。そんな素朴な販売方法が私の心を射止めた。昔、相棒と私は近郊のサヴォイアと言う名のワイン農家へ出向いて大きなタンクでワインを購入しては、地下倉庫でボトルにワインを注いだものだけど、その作業は口で言うよりずっと大変で、いつの間にか農家から購入するのを止めてしまった。そんなこともあって、ボトルを持ち込んでワイン購入ができるこの店をあっという間に気に入ってしまったのだ。ワインくださーい。そう言いながら店に入ると店主が出てきた。店には先客が無く、おかげでゆっくり店主と話をすることができた。私はワイン通ではないけれど、ワインの話を聞くのが好きだ。これはどこどこのなんという種の葡萄を使った…といった話。これはどんな食べ物に合いそうだとか。もう少し温度が高い方が風味があるね、とか。マルケ地方の白ワインとトスカーナ地方の赤ワインをボトルに詰めて貰いながら、そんな話を楽しんだ。実に地味な店だ。しかしボローニャ人たちが好みそうな店と感じた。そのうち大変繁盛するに違いない。それが嬉しいような気もしながら残念なような気もするのは何故だろう。

新しくて古い感覚の店。私の気に入りリストに書き加えておこう。


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