ああ、また雨が降る

DSC_0041 small


急に寒くなった。寒いのは11月も下旬なのでよいとして、それにしたってこの執拗に降り続ける雨ときたら頭痛の種だ。単なる言葉のあやでなく、本当に頭痛を引き起こすのだから困ったものだ。季節が秋から冬へと移り変わっていくのをひしひしと感じながら、小さな傘を差しながら、水たまりに足を突っ込まないようにと足元を見ながら歩くのはあまり好きではない。寒くても良いからよく晴れ渡った空を仰ぎながら街を闊歩するほうが自分らしい。そう思いながらも今日もまた足元を見つめながら、傘をさして歩く。兎に角風が冷たくなった。もう帽子なしではいられないほどだ。ところが私の帽子ときたら明るいグレーのニット帽と微妙な赤のベレー帽しか手元になく、今ちょうど被りたい気に入りのボルサリーノの帽子はクリーニング屋さんに行ったっきりなのだ。引き取るのを忘れているわけではない。毎週土曜日になると店に出向いて帽子の安否を確認しているくらいだ。確かに帽子は存在するがまだ仕上がっていないとのことである。数か月前に両親を次々に亡くしてすっかり気弱になっている女主人と病と闘いながら彼女を手伝う旦那さんは、沢山の洗濯物が店に持ち込まれるのを喜びながらも、どうやら体力と時間が足らないらしい。そんな彼らに文句を言う気は毛頭なく、うん、来週ね、と言いながら店を出たものである。大きなチェーン店もボローニャにはあるけれど、遅いけど丁寧に仕上げてくれるこの店が好きだ。ただ、帽子が手元になくて残念なだけなのだ。今日は朝から酷い雨。帽子が仕上がっている筈なので引き取りに行きたいが、それすら足踏みしたくなる雨だった。風雨と言ったほうがぴったりで、足元だけでなくコートも何もかもがしたたかに濡れてしまいそうな降りだった。昼前になってその雨が霧雨ほどになったので大急ぎで店に行ってみると女主人が私を待っていた。ああ、来た。帽子が仕上がっているのよ。そう言うと彼女は奥に行って帽子をふたつと、それから頼んでおいた幾枚ものスカーフを綺麗に畳んで持ってきて言った。帽子代はいらないわ。あなた、文句のひとつも言わずに長いこと待ってくれたものね、ありがとう。驚く私が何か言おうと口を開くのを彼女は手で制して、いいの、いいの、これは私からの感謝のしるしなのよ、と言った。帽子の洗濯代はふたつで合わせて8ユーロ。こんな大きなおまけは未だかつて聞いたことがない。しかし彼女の好意を有難く受け取ることにした。受け取った洗濯物を持って家に帰ると、待ち構えていたように再び強い雨が降り出した。

それにしたってよく降る雨だ。町中の色づいた葉がこの雨ですっかり落ちてしまったではないか。もう少し鑑賞していたかったのに。そんなことを残念がるのは私だけなのだろうか。


人気ブログランキングへ 

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2013/11/24 (Sun) 09:28 | # | | 編集
Re: タイトルなし

無名のコメント様、こんにちは。昼間も10度にならない毎日です。今週は5度なんて日もあるそうで、温かくして出掛けなくてはいけません。日本は少しはましでしょうか。このくらいで寒さがストップすると有難いのですが。私は落ち葉が好きなんです。地面に落ちた葉を見ると無性に写真を撮りたくなる病気にかかっています。

2013/11/24 (Sun) 20:08 | yspringmind #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する