雨が降る

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日曜日に雨が降ると少し淋しい気分になる。私だけなのかと思えば、女友達からメッセージを貰ったら彼女もそんなことを呟いていたので、どうやら雨とはそういう気分にさせるものらしいと確認した。と、思い出した。

旅行中に降った夜中の雨。グリッフェンに到着して、22時を回ってからのことだ。宿の下の店で夕食を済ませ、ああ、今日は長旅だったね、しかしこの町の人たちの夕食時間は驚くほど早いね、19時前に夕食を頂くなんてねえ、と部屋に戻って一息ついた頃だ。雨の気配を感じて窓の外を見たが、あまりに暗くて何も見えなかった。この部屋の窓は裏の庭に面していて、庭の先には岩でできた丘の大きな壁があるだけだった。庭を明るくする理由もなく、そんな訳で日没後は真っ暗闇になるのだ。怖いと思うことはなかった。何しろ治安の良い町で、町人たちが信頼し合って生活しているような印象があったから。とにかく何も見えない。しかし雨の匂いがした。土が雨に湿った匂い。私の大好きな匂いだった。窓から腕を出して、雨が降っているのを確認した。ああ、雨が降ってしまった。折角の旅行に雨とは。私は少し残念だったが、ここでがっかりしてはいけなかった。ああ、夜でよかった。明日の朝にはきっと止むに違いない。私は自分を元気づけるように声に出して言ってみたら、本当にそんな気がしてきてた。その雨は夜中に向けてさらに激しい降りとなった。何故そんなことを知っているかといえば、雨音があまりに心地よくて、眠るのも忘れて聞き入っていたからだ。ボローニャから遠く離れた小さな町の宿で聞く雨音は、私に大きな安堵をもたらした。淋しくない雨。静かな気持ちにさせる雨だった。いつの間にか眠りに落ちたようだ。目が覚めると朝だった。カーテンを開けると雨はつい先ほど止んだらしく、地面はまだ濡れていた。しかし遠くの空に太陽が見えた。厚い雲に時々隠れたりしながらも。朝食のために下の階に降りると、年配の女性が元気に言った。おはようございます。このくらいのドイツ語ならば私も知っている、と私も元気に挨拶を返す。店の入り口から入ってくる冷たい空気。ふと店を見回すと皆暖かい装いをしていた。夜中の雨が秋を運んできたらしかった。実際は秋ではなく、9度という、寒がりの私には初冬のような寒さだった。しかし雨に洗われて緑の濃いこと。しっとりと。そんな言葉がよく似合う。

ふと、窓の外を眺めながら、まさかボローニャもまた急に秋がやってくるのではあるまいか、と心配する。涼しくなるのは有難いが願わくはもう少しだけ9月の素敵な気候を楽しませて貰いたいのである。


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