永遠の浪漫

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イタリア中が投票に沸く日曜日。昨日の雪が夜中のうちに止んで、朝から快晴。陽射しが雪を更に白く輝かせて目に痛い。昨晩のうちに除雪車が主要道路の雪を除けて車が普通に通れるのは嬉しいことだが、路上駐車していた車たちは除雪車が除けた雪に埋もれて酷い目にあったようだ。朝から沢山の人達が雪に埋もれて姿を消した自分の車探しに奮闘し、車を救出すべく雪かきに忙しい。大半の人達は車の利用を観念して、いつもなら歩かないに違いない1,2キロメートルの距離をてくてく歩く姿はとても健康的且つ楽しそうだ。しかし歩道が除雪車の除けた雪で大変なことになっているので人々が車道を歩く。車はそんな人達に注意しながら走る。いつもなら交通の激しい主要道路は今日に限ってはのんびりでゆったりだ。今回の投票は雪に見舞われてどうしたものかと思っていたが、人々の関心は揺るぐことないらしい。誰が勝利を得ても良い。兎に角今のイタリアを何とかして欲しい、と言うのが投票権利の無い、日本国が二重国籍を認めない限りは一生外国人のままで居ると決めた私のひそかな願いである。

昨日旧市街を歩いていたら携帯電話にメッセージの受信を発見。確認してみたら友人からであった。彼女は今回の選挙の関心が高じてローマに選挙演説を聴きにいったらしい。チャオ! 今、ローマに居ます。とのことだった。そういえば数日前にあった時、そんなことを話していた。雪が降ってもいくのかとの私の問いに、こんな大切なことは雪だって何だって参加しなくては、と言って笑った。私よりも15も若い彼女。おっとりした性格で彼女と話して居ると幸せが伝染してくるような幸せさん。性格も年齢も違う私たちがこんな風に友達になるなんて、初めて会ったあの日には夢にも思わなかった。選挙演説を聴いた翌日はローマの街を見て回ると言って喜んでいた。ローマに居た頃何処に住んでいたのかと訊かれプラティ地区だと答えると、あそこには有名なピッツァの店があると彼女は言った。そうだ、確かにあの店の切り売りピッツァは有名でいつも客で一杯だった。私がプラティのアパートメントで4人のイタリア人たちと暮らし始めて間もなく、ボローニャから相棒が様子を見に来た。快適だけど大変なのよ、と電話で言った私の言葉に、おいおい、其れは大変だ、と思ったらしい。しかし私が大変だったのは別に4人のイタリア人たちのことではなくて、何しろ人数が多いから全てが順番待ちであることだった。そして若い彼らは夜な夜なキッチンに集まって夜遅くまでお喋りに興ずる。私が明日の朝早いからと自室に退散しようとすると、大抵誰かがごねて、あと20分、あと10分と結局遅くなってしまうことだった。さて相棒がやって来た。4人のイタリア人たちが、さあ、いつもひとりぼっちの妻と一緒に散歩へ行けと相棒に言う。此処を真っ直ぐ行くと大通りがあって、其れをずっと行けばポポロ広場にいけるとか、此の近くに美味しいカッフェと菓子の店があるとか教えてくれた。その中のひとつが切り売りピッツァの店だった。美味い。その上安いんだ。と言ったのは確か当時大学で建築を学んでいたジャンカルロだった筈だ。性格の良い彼は友達がびっくりするほど多くて、彼らと出歩くからなのか安くて美味い店を沢山知っていた。それで私たちはアパートメントからプラティ界隈の散策に出たのだ。直ぐにお腹が空いて切り売りピッツァの店を目指し、熱々のを切り分けて貰ってかぶりつく。美味しくて軽くて安くて、私たちはいったい何度切り分けて貰っただろうか。相棒は此の辺りのローマっ子たちのお喋りに混じりながら、君たちはこんなのを毎日食べられるなんて幸運だね、と言っていた。相棒がボローニャに戻ると、時々電話であの店のことを訊かれた。うん、この間の休みの日に行って食べた、などと私が答えると相棒は再びローマに跳んで来たくなったものだ。彼女と話をしながらそんな昔のことを思い出してその店には良く通ったことを伝えると、ああ、早くローマに行きたいと身を捩った。ローマ、やはりローマは憧れなのだ。他にも素敵な町はたくさんあるけれど、ローマはやはり永遠の浪漫の町なのだろう。どんな理由であったにしてもローマに暮らす機会を得た私は運が良かったのかもしれない。そういうことにしておこう。それにしても妙な天気だ。晴天かと思えば雨が降り、また太陽が顔を出す。明日にはまた雪が降ると言っているけど、何か春の予感がする。多分、此の妙な天気の直ぐ後ろには春が待っているのかもしれない。


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