食料品市場界隈

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昨日から太陽に恵まれたボローニャ。太陽の光がこんなに気持ちの良いものであることを忘れかけていた。空が晴れ渡っているからなのか、妙に寒い。昼間は5度にも上がるけど朝晩はボローニャ市内とて氷点下にまで下がる。はーっと息を吐く。立ち上る白い煙のような息が寒さの証拠。思いがけず精神的にも肉体的にも重い一週間だった。折角の土曜日だが気が済むまで眠ることにした。しかしそれも窓から差し込む太陽の明るさでおちおち眠っていられなくなり、予定より早くベッドから抜け出した。窓の外は驚くような明るさ。人々が嬉々として歩き回っていた。ゆっくりと朝食を頂いて、のんびり身支度して家を出た。ボローニャ市内に暮らし始めてから、ストレスが減った。どんなストレスかというと、バスの時間に合わせて外出するストレス。気が向いた時に家を出てもバスが直ぐにやって来るって、なんて素敵なんだろう。と言うと周囲の人は笑うけど。ボローニャ旧市街は太陽を楽しむ人々で賑わっていた。寒い。手袋を忘れてしまったからだ。私はオーバーコートのポケットに両手を突っ込んで歩き始めた。それにしても天候は人々の心に大きく作用するようだ。皆表情が明るく、足取りも軽い。久しぶりにMUJIに立ち寄った。どんなものがあるのかと思って。此の店はボローニャ人の生活に上手く馴染んでいるようだ。こんなに混んでいる店は今時めったに見かけない。兎に角日本のものがボローニャ人に受け入れられているのは嬉しいことである。などと考えていたら小さな犬が私の膝小僧めがけて飛びついた。なんという種類なのだろう。スピッツを小型にしたような、白や栗色や黒やグレーが上手い具合に交じり合った、全く可愛い犬だった。犬は何を求めているのか、私の顔をじっと見ている。それで小さな頭を優しくなでると嬉しそうに尻尾を振った。時々そんなことがある。歩いていたり店で物色していると見知らぬ人の犬がやってきて私の膝小僧をめがけて飛びつくのだ。私の膝小僧はそんなに飛びつきやすいのだろうか、飛びつきたくなるような高さにあるのだろうか。可愛い犬の飼い主家族に挨拶をして店を出た。小腹が空いたのでPiazza Maggioreのすぐ傍の食料品市場界隈を目指した。此の辺りは近頃変わりつつある。例えば昔からあったご婦人向け衣料品店が姿を消して洒落たカフェに変身した。カフェと言ってもワインを嗜むのが目的の店らしく、昼時とあって店内には軽いワインを片手に美味しそうなものを頬張る人達で一杯だった。あの衣料品店は確かにあまり流行っていなかったが、無くなってしまうと妙に淋しいものである。これも時代の流れというもので、仕方が無いといえばそうだけど。その先の左手にある魚屋。小さな店で昔からあるが、入ったことは一度も無い。此の店が少し前に変身した。魚を売るのは昔のまま、しかし店内の左手にワインと魚の惣菜を楽しめる空間を設けたのだ。ある日、仕事帰りの夕方6時半ごろ、魚屋の中でワインを片手に何か頂いている人々を発見して、これは!と思った。魚屋でワイン。それにしても何時見ても人が一杯で、中に入る隙間も無い。今日はどうだろう、そう思って行ってみるとカウンターに空席を見つけた。ようし。魚屋に入った。魚を売る店員が、奥さん、こんにちは!と大きな声で挨拶してくれた。今日はイカがとびきり新鮮なのだそうだ。私は気になるイカをさておいて、店の奥の女の子に声を掛ける。彼女がワインと惣菜の担当者だ。生牡蠣、生の帆立貝、生のマグロをたたいたもの、サーモンをたたいたのもあった。しかし今日は火が通っているものがよい。何しろ初めてなのだから、と色々ある中からイカや海老や貝を油で揚げて串刺しにしたものと白ワインを頼んだ。それにしても次から次へと客が入る。其のうち客は立ったまま魚の惣菜やワインを楽しみだし、店内は身動きできぬほどの混雑になった。客層が面白い。若い人もいれば毛皮のコートを着たご婦人も、ボルサリーノの帽子を被った紳士もいる。ワイングラスだってプラスティックだし、何一つ優雅なもの、洒落たものは無い。何しろ此処は小さな魚屋なのだ。でも、そんなことよりも新鮮な魚の惣菜が魅力らしい。決して安くは無いけれど、背後から聞こえる魚を注文する客と店員のやり取りを聞きながら軽い食事をするのは悪くない。うん、ぜんぜん悪くない。私は軽い昼食を終えて、女の子に声を掛ける。美味しかったからまた来るわね、と。すると横から魚屋の店員が口を挟む。そりゃ、奥さん、美味しくて当然さ。うちの魚は新鮮なんだからね!その声に店に居た人達がわっと笑った。なんだか恥ずかしくなって、でも嬉しくて、上機嫌で店を出た。成程、これが此の店が流行っている理由かもしれない。それにしても此の界隈は、これからも変化していくのだろう。そのうち小さな肉屋が、店内で上手に焼いた肉と赤ワインを楽しむ空間を設けたりするのかもしれない。そんなことを考えながら、私はまた歩き始めた。いい土曜日。やっぱり私は土曜日が大好き。


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2013/01/26 (Sat) 22:30 | # | | 編集
Re: タイトルなし

鍵コメさん、こんにちは。なにぶんにも魚屋の一部ですので洒落っ気などはありません。しかしアイデアは全然悪くない!と思うのですよ。今度覘いてみてください。私は旧市街ではないのですがボローニャ市内の、13番のバスでちょいちょいと旧市街へ行けるところに住んでいます。まだ仮住まいです。此の界隈が気に入っているので現在近所の物件を見て回っているところです。田舎暮らしも良いのですが、私の生活スタイルには合わなかったみたいです。車をもっと活用できれば問題なかったかもしれません。と、少々反省。まあ、そういうわけで最近は散策三昧なのです。ボローニャ旧市街に来られるとき時間があるようでしたら声を掛けてください。何か美味しいものでも一緒にどうぞ。

2013/01/27 (Sun) 17:00 | yspringmind #- | URL | 編集
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2013/01/27 (Sun) 22:18 | # | | 編集
Re: タイトルなし

鍵コメさん、と言っても私は店をよく知らないので鍵コメさんにお勧めしていただくことになると思いますが、すみません。私はトリッパとゴルゴンゾーラ以外なら何でもいけます。
私が暮らす界隈は丁度ピアノーロと旧市街の間です。此の辺りはパン屋はあるし、クリーニング屋はあるし、カフェはあるし、市場はあるし、何でもありで便利です。うちは以前車を2台持っていましたが兎に角、保険と維持費が半端ではなくて、私の車を売ってしまいました。不便になったけどほっとして、そんな時家の買い手が急に現れて、それではボローニャに!となりました。もともと私はドライブに向いていなかったので、バスに乗るくらいが丁度良いみたいです。そう言いつつも便利な生活の中で時々思い出します。朝の通勤時に見た、丘を走る鹿たちの姿。あれは全く素敵でした。

> わぁ、美味しい物、是非是非ご一緒させてください!魚屋さんも是非のぞいて見ます。
>
> 私も引っ越すまでBorgo Panigaleに住んでいてまさに13番のバスを使っていましたが、Yspringmindさんはおそらく町をはさんで反対側の方じゃないかな?という気がしていますがどうでしょう?
> 田舎暮らしで一番困るのが移動で、やっぱり車が活用できれば問題ないのですが、夫が仕事に乗って行ってしまうとそうもいかないし、もう一台というのはなかなか経済的にむずかしくてその点が不便だなぁと思います。いつか慣れるといいのですけれど。^^;
> もう少し暖かくなってご主人と山の方(Loianoとか・・・)へドライブ、、、なんていうことがありましたら是非こちらにもお声をお掛けくださいね。

2013/01/27 (Sun) 23:14 | yspringmind #- | URL | 編集

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