過ぎゆく一年

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ふと思いついた。年明けからバスで通うにあたってバスの時間を調べておこう、と。年明けにばたばたするのは嫌だし、年明け早々遅刻も宜しくない。と言うことで停留所まで歩いてみた。一番近くのではなくひとつ向こうの停留所。そこに停まるバスに乗ると大変都合がよいのである。歩いて5分だった。これは良い。小さな紙切れに徒歩で5分、と書き込んだ。その時、バスが来た。旧市街への13番のバスだった。横に居た赤いハンチング帽を被った老人が、お先にどうぞと手を差し出すので、そんな予定は無かったけれど思わずバスに乗り込んだ。バスの定期券を持っていたし、別にこれから誰かと約束があるでもないし、特にしなければならないことも無かったからだ。予定していなかったことも出来てしまう便利な界隈に住み始めたことを感謝した。日曜日と元旦に挟まれた月曜日の今日は、シャッターと下ろした店が沢山あった。日本なら穫き入れ時の今日を休む店など無いけれど、これがボローニャなのである。そういえば近所にある行きつけのカフェも昨日から休み。開けておけば必ず繁盛するに違いない店だけど、店で働いている人も冬休みを楽しまなくては、というポリシーらしかった。それはそれで良いことである。開いている店の割合に比べて街を歩く人の多いことと言ったら。すでに割引が始まった衣服店を覘く人達もいれば今夜の晩餐会の材料を買い込む人達も多くみられた。例年ならちょっとした夕食を用意して時間を掛けて楽しむが、今年は旧市街へ行くかもしれないから、と何かを用意する予定は無かった。しかしそれも食料品市場界隈に差し掛かったところで気が変わり、いつもの店に吸い込まれていった。La vecchia malga、という名の此の店はいつだって混んでいるが、今日の混み具合は尋常ではなかった。順番待ちの番号札を取ると、52番だった。さて、いったいどれ程の人が私の前に居るのだろうと思いながら耳を澄ましてみると、まだたったの38番だった。人混みが嫌いだ、そして順番を待つのはもっと嫌いだ。それでも黙って順番を待ったのは、美味しいチーズと生ハムが欲しかったからだった。簡単な前菜を用意してワインの栓を抜いて、それからゆっくり旧市街へ行こうと思ったからだった。それにしてもいつまで経っても順番がやってこないのは、あれもこれもと注文するご婦人たちが多いからであった。決して安くないこの店であれほど買ったらあっという間に100ユーロになってしまうのに。私は要らぬ心配をしながら20分も経ってやっと自分の番号を呼ばれてほっと溜息をついた。生ハムと、パンチェッタを150グラムづつ。薄く薄くスライスしてくださいね。それからよく熟したペコリーノチーズと口当たりの良い何か美味しいチーズもくださいね。此のくらいづつ、と指で大きさを示して切って貰った。よし、今日はこれにポルトガルのワインにしよう。その足でガンベリーニ菓子店に立ち寄った。美味しそうなのが幾つもあったがどれも予約されていて、結局びっくりするほど小さいのを購入することになった。しかし良いだろう。何しろ私たちふたりだけなのだから。帰りのバスで行きのバスで一緒だった、あの赤いハンチング帽の老人と一緒になった。彼の手には本屋の紙袋。どうやら彼は2本の塔の下の本屋へ行って来たらしい。鼻歌を歌いながら家に帰ってきた。とても気分が良かった。買い物を冷蔵庫にすっかり収め、さあ、引越しの片付けでもしようかと思ったところでベルが鳴った。隣に暮らす大家夫婦のパトリツィアだった。ねえ、今夜何か予定があるのかしら。私たちは家で静かに過ごすのだけど、夕食に来て貰えたらとても嬉しいのだけど。彼女は何時だってこんな風だ。他の人のように何も予定が無かったら来ない?とは言わないのだ。まるで来て貰えたら大変光栄である、といった調子なのだ。旧市街へ行こうと思ってはいたが、ふと気が変わり是非寄らせて貰うと答えた。持ち寄る食料は先ほど買ったものしかないが、料理上手な彼女だから、かえってそのほうが都合通いに違いなかった。彼女はそれでなくとも大きな瞳を更に大きく開いて有難う!と抱きついてきた。それでは21時にね、と言って別れた。豊かな家庭で育ったらしい彼女は何一つ不足するものが無いまま、小さな少女がそのまま大きくなった。私は彼女と知り合ってそんな印象を得た。彼女の素晴らしいところは驕らず、有る物を人と分かち合う精神だ。直ぐに相棒にメッセージを送った。予定変更あり。今晩は大家さん夫婦のところで今年最後の夕食会。すると間もなく返事が返ってきた。了解。楽しい晩になりそうである。

沢山の新しい出会いに感謝。健康が守られて感謝。感謝の気持ちを忘れずに一年を締めくくれることに感謝。今年も一年お付き合い有難うございました。皆さんに希望溢れる新しい年がありますように。


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コメント

明けまして、おめでとうございます。
イタリアより早いお正月を迎えた日本から、新年のご挨拶をいたします。
また今年も、yspringmindさんの世界を散策させていただけたら、幸せです。
本年もよろしくお願いいたします。
yspringmindさんとご主人のご多幸を祈念いたします。

2013/01/01 (Tue) 02:53 | Via Valdossola #P6wRKz4w | URL | 編集
Re: タイトルなし

Via Valdossolaさん、明けましておめでとうございます。昨年が綺麗に閉じて新しい年が始まったことを心から喜んでいます。きっと良い一年になる、そんな予感がします。いえ、特別凄いことが無くてもいいのです、元気で楽しい毎日を過ごすことができたらね。今年もお付き合いお願いします。今年こそVia Valdossolaさんがボローニャに来てお会いすることが出来たら良いのにと思いますが、どうでしょうか。

2013/01/02 (Wed) 19:56 | yspringmind #- | URL | 編集

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