日曜日の雨は憂鬱

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日曜日の雨は憂鬱。それが静かな雨ならば尚更だ。降っては止み、降っては止む。別に何処へ行くでもないけど、窓の外が鼠色に曇り、目を凝らして幾筋もの雨を確認するとどうしようもない気分になる。そんな日は楽しいことを考えるのが良い。11月。11月とはそんな月なのだ。勿論時には目の覚めるような青空が広がり、素晴らしい11月もあるけれど、どのくらいあったかと数えてみれば片手ほどもない。

9月の下旬にアムステルダムを訪れた。仕事だったからいつものような街歩きを存分楽しむと言うわけにはいかなかった。しかしそんな中で覘いてみたアムステルダムは、私に新鮮な印象と何か同感に近いものを与えてくれて、ボローニャに帰ってくるなり飛行機を予約した。11月下旬の、何の予定もないであろう時期に。2泊3日の小旅行だ。こんなに素早く行動にうつしたのは久しぶりだった。それほど印象が良かった証拠で、それほどもう一度ゆっくりとじっくりと街を見て歩きたかった証拠である。私にはそういう癖がある。気に入ると気が済むまで通い詰める癖。アメリカがそうだった。外国へ行くのは初めてだった。英語は好きなくせに全然だった。その上ひとり旅だった。あの頃の私は若かったが自分でも驚くほど臆病だった。だから自分で望んで来たくせに空港に降り立つとどうしようもない不安に包まれて、そのまま後に引き返してしまいたくなった。ところがその町の青空は今まで見たこともないくらい青く高く清々しかったから、それから人々の表情がとても明るくて気持ちが良かったから、着いた時の不安は他所に此処に来たのを運命的なものと思うようになった。自分と相性の良い町と言うと丁度良く、私は生まれて初めてそういう町が存在することを知ったのだ。街中ですれ違う人々と目が会うたびに明るい声で挨拶をしてくれる。それは驚くべき文化で、私はその解放的な人々の感覚に強く惹かれた。理由なんてどんな小さなことでも良い。私はそんな風にしてそれから半年ごとに飛行機に乗ってその町を訪ね、7回目になるとこれで旅は終わりにしようと思って其処に暮らすことに決めたのだ。私の癖とは時として、自分の生活を大きく変えてしまうのだ。それは悪いことではない。かと言って良いこととも言い切れないけれど。
ところで、アムステルダムの花市場で購入した大きなアマリリスの球根を植えたのはひと月と少し前のことだ。店の人が言うには6週間から8週間で花が咲くとのことだったが、私のは3週間もすると大きな花を咲かせた。ひとつ目が咲き、ふたつ目が咲き、今はみっつ目が咲いている。来週には最後のひとつが開花するだろう。何事も淡々と物事を運ぶ私とよく似ている。類は友を呼ぶと言うけれど、球根も類は友を呼ぶのだろうか。そんな様子を知って姑が不安がる。姑のはひとつも咲かないどころか全然成長しないからだ。長いこと体が不自由な彼女にしてみればそんなアマリリスがもどかしく悲しく思えたのかもしれなくて、アマリリスの鉢を指差しては成長しないと言わんばかりに悲しい表情で首を左右に振るのだった。人に物を贈るのは難しいものだ。彼女が喜ぶと思ってのことだったのに、逆に悲しい思いをさせてしまったと深く反省した。ところが今日、姑のところへ行ってみると、真っ赤な、大きなアマリリスの花がふたつ咲いていた。あっ、奇麗な花が咲いている! と喜ぶ私を姑が大きな笑みを湛えて見ていた。うん、うん、やっと咲いたの。有難う! と。うちのよりずっと大きくて奇麗なアマリリスの花を見ながら、花が彼女に元気と勇気を与えてくれればよいと思った。アムステルダムへ再訪するのが楽しみだ。少々重くて嵩張るけれど、また球根を仕入れてくることにしよう。自分と姑にひとつづつ。それから仲良しの彼女とあの人とあの人にもひとつづつ。小さな旅行鞄の半分は球根で埋まる算段だ。


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コメント

住む

お久しぶりです。
香港、マカオ、セブ島はもう何度も行っていますが、
なかなか住むまでには至らない臆病者です。
海外のどこへでも行けるたくましさよりも、
海外の好きな場所ならどこへでも住める、
そこまでいかなくても住もうと行動する力が欲しいです。
セブが良いとは思ってるんですけどね。

2012/11/08 (Thu) 04:58 | ひろぽん #nEEbkvUM | URL | 編集

yspringmindさん、こんにちは


社寺仏閣巡りが趣味なので

休日の長雨も

塔頭の御庭なんて眺めながらなら・・・・

これまた、オツなものなんですよ^^


ぜひ、京都にお越しの際は、お試しください^^v

2012/11/08 (Thu) 21:36 | 高兄 #jr19PJ6E | URL | 編集
Re: 住む

ひろぽんさん、こんにちは。お久しぶりですがお元気なようですね。
私のような好きが長じて住むに繋げてしまうような人は世の中には沢山居ると思うのですが、それは勇気があるとか積極的だとか何とかではなく、単に思ったとおりに物事を運んでしまうというだけなように思います。私に関して言えば、まさかその後ボローニャに来ることになるとは夢にも思っていなかったので、あらあら、という感じなのですよ。
ひろぽんさんが美しい海のあるセブ島に」暮らす・・・ストレスフリーな生活が目に浮かびます。

2012/11/10 (Sat) 18:25 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

高兄さん、こんにちは。
長雨の京都をそぞろ歩く。想像するとなにやらとても情緒深いです。京都にはもう25年訪れていません。来夏帰省する際にでもと思いますが、夏の京都と今の時期の京都では随分印象が違うのでしょうね。目に沁みるような緑が萌える季節の京都も、長雨の京都に負けず劣らず美しいのかもしれませんね。楽しみにしたいと思います。

2012/11/10 (Sat) 18:30 | yspringmind #- | URL | 編集

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