一枚の葉書き

Immagine 199 (Small)


友人からメールを貰った。もうすぐボローニャに帰るから、と言う内容だった。ボローニャに暮らし始めた当初からの付き合いの、しかし長いこと彼女がボローニャを離れているために滅多に会うことが出来ない友人だ。ボローニャっ子の彼女のことだから、ボローニャに休暇で帰ってくる数日間に会いたい人が沢山居るに違いない。果たして私と会う時間を繰り出せるのか疑問であるが、声を掛けてくれたのだから案外期待してよいのかもしれない。彼女の娘と息子も一緒だろうか。美しい青いガラス玉のような瞳を持った彼女の娘。そしてくりくりとした黒い瞳の笑うととんでもなく可愛い、だけど大変な泣き虫だった彼女の息子。私がボローニャに暮らし始めた頃、彼らはまだ小さな子供で、私たち3人は手をつないで歩いたものだ。私は時々彼らのベイビーシッターを頼まれてしていたからだ。ふたり姉弟は仲がよくも好みが随分違っていた為に私は時々困った状況に陥ったものだが、私が困っているのを認めるや否や必ずどちらかが折れて助けてくれた。あなたが居なかったら私たちはどうしたら良いの? と父親の帰宅と入れ違いに帰ろうとする私にしがみつく子供たちを見て、僕が居るじゃないか、と父親が妬たことがある。私たちはとても仲良しで、何時だって楽しい遊びを見つけ出して一緒の時間を上手い具合に過ごしていたから、その途中でひとり抜けてしまうのが彼らにとっては残念だったに違いなかった。ベイビーシッターをしない日も私たちはしばしば会った。例えば夏の夕方の、旧市街に暮らす彼女の両親の広い庭でのアペリティーヴォ。大人たちがワインを楽しみ、子供たちが庭を駆け回った。何時までも明るい夏の夕方の、其れは楽しい、何時までも色褪せない大切な思い出。あれから十何年が経ち、私が年月と共に変化しているように子供たちも心身ともに成長しているに違いない。彼らもボローニャに帰ってくるだろうか。あの頃そうしたように、ぎょっと抱きしめてあげたい。もう小さな子供ではないのだから嫌がるかもしれないけれど。久しぶりにひらりと届いた一枚の葉書きのようなメールが、私をこんなに喜ばせていることを、友人は知る由もない。


人気ブログランキングへ

コメント

こんにちは。
なんだか古い映画の一シーンのような、とてもすてきな思い出のお話でした。
「一枚の葉書きのようなメール」で次々と懐かしい思いが流れでたのでしょうか。
はがきといえば、先日イタリアに出かけたおり、帰国したわたしを待っていたのがボローニャから出したはがきでした。
もう着いている!
以前のイタリアからは信じられないほど、郵便の信頼性が上がっている気がしました。昔はだいぶかかりましたよね(笑)。
聖年のあとのローマの街の変わりぶりにも驚きましたが、イタリアの変化をこうしたところでも見つけるとなんだか複雑です。それが現代なんですけど。


2012/06/26 (Tue) 04:51 | 大庭綺有 #oSFUNe7U | URL | 編集
Re: タイトルなし

大庭綺有さん、こんにちは。この一枚の葉書きのようなメールは思いがけず私をわくわくさせて、古いことを幾つも思い出させてくれました。こんな風に思い出してみると、スムースでなかったと記憶している私のイタリア暮らしの初期は、案外いい人たちに囲まれていて恵まれていたのかもしれません。さて、最近のイタリアの郵便局は見違えるほどスピーディになって、だから大庭綺有さんが驚くのも無理ないのです。昔はひょっとすると2ヶ月も掛かった日本への郵便が5日ほどで届いてしまう。やれば出来るじゃないか、イタリア。と私の周囲の外国人たちも言っています。

2012/06/28 (Thu) 22:26 | yspringmind #- | URL | 編集

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する