小雨

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藤の花が咲きリラの花が咲く。木蓮の花が開き野の黄色い花も一斉に開いた。一年で一番沢山の花が咲く季節。私は呼んでいるが連日の雨で台無しだ。そう思いながら案外植物たちはこの雨に濡れながら喜んでいるのかもしれないとも思う。本当のところは彼女達に訊いてみなければ分からないけれど。家の近くに八重桜が咲いている。桜餅を連想させる良い色。其れも雨に濡れて頭をもたげている。もたげてはいるが美しい。美しい花は雨に濡れてもやはり美しいのである。それにしても寒い。普通なら3月に冷たい雨が連日降って人間を困らせるのに今年に限っては例外。暖かい3月、そして冷たい雨が降って肌寒い4月。何でもありのイタリアだけど、この気候には閉口だ。4月だからと格好つけている場合ではない。身体が冷えないように、うっかり風邪など引かないようにと箪笥の奥にしまいかけたセーターを再び引っ張り出しての毎日。忙しい一週間だった。金曜日の昼を回った頃から体力が急激に低下したのは扁桃腺のせいだ。疲れと冷えに、いい加減にしてくれと言わんばかりに扁桃腺が怒っていた。それで今日は昼前まで眠った。こんな時間まで眠れると言うことは睡眠が必要だったからだろう。兎に角よく眠った。だから起きてカッフェを頂く頃にはいつもの元気が戻った。昨日から降り続けていた雨がようやく止み、暗かった空が明るくなり始めた。今日は家でゆっくりするつもりだったが、明るくなり始めた空を見ているうちに外に出たくなった。外に出たいと思えるということは元気な証拠、そう思って急いで仕度をして家を出た。ボローニャ旧市街は小雨だった。傘を差すのもうっとうしいが、差さなければ濡れて風邪を引くに違いない。ポルティコの下に人々は立ち、さて傘を差すか差すまいかと空を眺めていた。私は相棒に電話をした。昨日の事が気になったからだ。昨夕、相棒の携帯電話が鳴った。相棒は電話の相手と話をしているうちに表情が曇りだし、それから長々と話をしていた。誰からだったのかと後から聞くとルチアーノからだったと言う。とてもよい青年。裏表が無いのでつきやい易い青年で、相棒も私も大変気に入っている人。その青年が相棒にどんなことで電話をしてきたのかは分からなかったが、あまり楽しい話ではなかったようだ。その電話以来、相棒はすっかり気落ちしてしまった。多分仕事のことだろう、と想像したが放っておくことにした。こういう時はそうするのが一番だ。少なくとも私だったらそうして欲しい。相棒は夜も直ぐにベッドに潜りこみ、直ぐに深い深い眠りに落ちた。そんな彼の様子に私は少し心配しながら、心の中で頑張れ頑張れ、乗り越えなくちゃ、と声援を送った。朝、彼が何時出掛けたのかは分からない。昨晩私は扁桃腺の薬を飲んだから、熟睡していて物音ひとつ聞こえなかったのだ。ポルティコの下に佇む人を眺めているうちに、相棒のことが気になり電話をすると意外と明るい声が聞こえた。今日は上手くいっているの? ルチアーノとのことはどうしたの? 恐る恐る訊くと、上手くいっているという。今朝ルチアーノ青年と会ったらしく、昨日のしこりは取り去ったようだ。そう、良かったね、と言うと、うん、ありがとうと照れた声が返ってきた。不思議なものだ。たったそれだけで私の気分も晴れ晴れした。さあ、雨は降っているが散策の開始だ。私は小雨のボローニャを歩き出した。


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コメント

扁桃腺悪化されなくてよかったですね
寝るに限ります お大事にされてください

花が綺麗に咲いているのですね
日本も今日は冷えてます
今までとは違う陽気だと感じます

2012/04/15 (Sun) 11:47 | 春風 #jgTtIlIo | URL | 編集
Re: タイトルなし

春風さん、こんにちは。扁桃腺、早目の処置が肝心なのです。一番の薬は睡眠である、とこれは長年の経験で得た知恵です。
雨が降ったり空が雨雲で暗いとどうして緑や花が一際美しく見えるのでしょうか。これは私だけの錯覚なのかしら。

2012/04/16 (Mon) 22:12 | yspringmind #- | URL | 編集

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