12月24日のこと

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駆け足で過ぎてゆく毎日。何しろ冬休み前なので気持ちよくお仕舞いに出来るようにと居残り仕事をしてみたり、ボローニャに立ち寄った知人と楽しい夕食をしているうちに金曜日が来て、そして今日からは冬休み。外では朝から小雨が降っていて空を見上げれば何とも寒々しい。けれども家の中では暖房が効いていて、こんな日に外に出なくて良いことを心底有難く思う。熱い紅茶を啜りながら手紙を書いたり、本を読んだり。私は昔からちっとも変っていない。やはり寒いのと雨が苦手なのだ。多分ボローニャ旧市街は沢山の人で賑わっていることだろう。こんな雨にも拘らず。昨年の今日を思い出しながら、ふとそんなことを考える。大切な人への贈り物を求める人達、それから自分へのご褒美を求める人達が、キラキラと輝くイルミネーションの合間を入ったり来たりしているに違いないのだ。アメリカに暮し始めて初めて迎えた12月24日もそんな風であった。もっともいつもより早めに店が閉まるので、賑わいは夕方5時くらいまでだった筈だ。急に人の波が何だか心細く思ったのを覚えている。そうだ、あの日だった。街中でばったり会ったのだ。会ったと言っても私のほうは相手の顔すら覚えていなくて、通り過ぎようとした瞬間に、あっ、君、と呼び止められたのだった。相手は私より幾つか年上の、私がアメリカに暮らし始める前にこの町のコーヒーショップでたったの一度、人を介して会ったことのある日本人男性・・・というのが適切な人だった。彼は恋人と暮らしていて、私生活も仕事も充実して幸せにやっているらしかった。私の方はと言えば共通の知人に嫌な思いをしたばかりで、其のことに触れられるのが怖かった。案の定、其の話が持ち上がって私は天を見上げるばかりだったが、彼は嫌味のひとつを言うでもなく、そんなことよりも君は大丈夫なのかい、と心配するのだった。聞けば其の話はこの辺りでは皆が知っているらしい。そして、彼女は大丈夫だろうかと皆が陰で心配しているとのことだった。気にすることはないんだよ、あの人は誰ともそんな具合なんだから。彼はポケットの中に入っていた小さな紙切れに自分の電話番号を書き込んで、困った時は電話をくれるといい、と私に手渡した。彼は急いでいるのか腕時計を覗き込み、、じゃあ、と片手をあげて挨拶をすると早足で歩き去り、あっという間に見えなくなった。ふーん、私を心配してくれる人達が居たのか。独りぼっちじゃなかったのだ。そう思ったら何だか嬉しくなって、急に肩の荷が下りたような気がした。実際、長いこと背負い込んでいた体中の緊張が解れていって、気が抜けた途端に風邪を引いて熱を出した。それが私の18年前の12月24日。あの日は雨ではなかったが、深々と寒さが突き刺すようだった。いいことを思い出したな、と窓の外の雨を眺めながら思う。今日は1日、親切にしてくれた人達のこと、私を見守ってくれる人達のことを思い出して感謝してみよう。そんな日が時々あると良いと思う。


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