彼女達

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私の気に入りの下着屋さんは頻繁に利用するバスの停留所の近くにある。先日バスを待っていたら気がついた。パジャマが3割引、しかも今週に限って。日本に居れば容易く手に入るものが此処ではなかなか得られない、というものが時々ある。そのもの自体が存在しない場合もあるけど、物は存在しても質の良いものが存在しなかったりする。私にとってパジャマが後者に相当する。ボローニャにだってパジャマはある。しかし一度洗うと生地がねじれてしまって奇妙な形になってしまったり、着心地が悪かったり、素材が良くなかったり。それから合格点に値するものも見つけたけれど驚くほど高価だったり。別にパジャマを見下しているわけではないけれど、パジャマに100ユーロ以上もの投資するのはなかなか勇気が要るものだ。そういう訳で私はボローニャに暮らすようになってからずっとパジャマが一種の悩みだったのである。昔時間がたっぷりあった頃は手持ちのパジャマを分解して型紙を取り、自らミシンを踏んでパジャマ作りをしたものだけど、仕事をするようになってからはなかなかそれが出来なくなった。兎に角そういう訳で、私は来たバスには乗らずに下着屋さんに入った。店にはいつもの感じの良い女の子がいた。私達は友達でもなんでもないし、私は店の常連でもないけれど、彼女は何時も飛び切りの笑顔で迎えてくれて実に気持ちが良い。ひとしきりお喋りをした後、店先に張ってあったパジャマ3割引の件だけど・・・と話を切り出すと、そうなんですよ、今週だけだから如何ですかと色々見せてくれた。定価で買うには少々高いが3割引ならいい感じ、という着心地の良さそうな素材の良いのがあった。でも私のサイズがない。すると彼女は近くで同じく下着の店を営んでいるという母親に電話してくれて、それでは直ぐに持ってきて頂戴、と言って電話を切った。母親の店は此処から100mもない地味な通りにある。長いこと店を営む母親は昔からの場所で、娘は大通りに面した場所に同じ店を出したと言う訳だ。母娘して下着屋さんかあ、と思っていると母親がパジャマを抱えてやってきた。私はそれを購入することにした。それにしても母親の若いこと。魅力的なこと。娘から母親を想像できなくも無いが、しかし良い感じだった。あなたのお母さん、若いわねえ、と驚く私に彼女は人差し指を立てると、ちっちっちっ、と左右に振って母は60歳なんですよ、と言った。すると店の奥に居た母親の大きな声が聞えた。聞えましたよ。私はまだ59歳なんですからね、と。彼女と私は顔を見合わせて声を上げて笑った。私も昔よく母の年齢を間違えたものだ。いつも必ず1、2歳多く言ってしまって母に戒められたものだ。女性にとってはこの1歳が大きな違いで、しかも彼女の母親にとっては59歳と60歳には大きな壁があるようであった。それにしても59歳には見えかねる若々しさで、見ると彼女の装いには小さな遊び心が見え隠れしていた。素敵なお母さんねえ、と言う私の言葉は娘である彼女にとっても嬉しいものであったらしく、彼女は無言で大きく頷いた。いい買い物をしちゃった、また来るからね、と言って店を出た。丁度きたバスに飛び乗って窓側に立つと店の入り口で彼女達が手を振っていた。


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コメント

パジャマ

私はパジャマの衣替えを間違えます
春から夏にいきなり 厚手のトレーナー上下から半袖短パン 綿素材の長袖長ズボンパジャマを忘れてしまうのです
秋に着ると朝晩寒く 夜中に 違う素材のパジャマを着るはめに・・・

2011/10/15 (Sat) 16:30 | 春風 #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

春風さん、こんにちは。私もパジャマでは結構失敗しているのですよ。特に夏の終わり。何時までも半袖半ズボンでいて、夜中に体が冷えて目が覚めて着替えるということが・・・。それにしても今回購入したパジャマの着心地の良いことと言ったら! 安眠してます。

2011/10/15 (Sat) 19:13 | yspringmind #- | URL | 編集

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