金色に輝く

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夕方が早くやってくるようになった。テレビでは毎日のように秋らしからぬ気候と言って未だに30度近くも上がることで盛り上がっているが、しかし夕方になるとあっという間に冷え込んでスカーフのひとつも首に巻きたくなるようなこの頃だ。この早くやって来る夕方の一瞬手前に街が金色に輝く。それが実に秋らしくて秋の素敵に一瞬惚れる。広場にせり出したカフェのテーブル席。此処は場所柄ちょっとお高くて普段向きではないけれど、時々座ってみたくなる。9年前だっただろうか、アメリカから友人がやって来た。アメリカに居た頃の私達にとっては、彼は友人と言うよりももう少し家族に近い存在だった。大きな鞄と大きなリュックが彼の荷物だったが、リュックの中身は写真の道具ばかりで私達をひどく驚かせた。彼にとっては初めてのイタリア。有名なローマやヴェネツィア、フィレンツェではなく素朴なボローニャは、彼が想像していたイタリアと相違していたらしく、驚き、歓喜した。ある土曜日、私達は家からボローニャの旧市街まで歩いた。いつもなら15分でいける道のりだが、友人が何度も立ち止まっては写真をとり、そして通じもしない彼風のイタリア語で通行人に話しかけるので、旧市街に辿り着いたのは1時間も経ってからだった。私はすっかり疲れていたが彼は大層ご機嫌で、このテーブル席に座って休憩しようと私を誘った。オレンジジュースとカップチーノ。高くてびっくりしたけれど、どんなに長居しても嫌な顔ひとつされないのがなかなか良いと思った記憶がある。注文した物はとっくに飲み干していたが、時々言葉を交わしながら広場を行き交う人達をぼんやり観察したりした。数週間後、沢山の写真と思い出を土産に彼は帰っていった。あれから何年も経ったこの夏の終わりに、彼は写真集を出版した。25年間の写真との付き合いの記念にと。ようやく其れがうちに届いた。昔一緒に写真を撮りに行った、あの月の美しい晩の写真があった。ページを捲っていくとボローニャの写真、そしてその中には相棒の両親が以前住んでいた家の窓からの眺めがあった。それを姑に見せたら喜ぶだろうか。それともその頃まだ元気で自転車を乗り回していた今は亡き舅のことを思い出して泣くだろうか。難しい問題だ。もう少し考えてみようと思いながら更にページを進んでいくと、彼の感謝の文章があった。私と相棒がよく交流していた友人達の名前が連なっていたその後に、私達に名前が記されていた。ボローニャ滞在の数年後、山から落ちて奇跡的に助かったが一時は記憶を失い、動くことが多少なりとも困難になった友人。こんな風に彼が軌跡を残したのには色んな想いがあったからに違いない。金色に輝く夕方、私はそっとテーブル席について友人に向けて乾杯した。


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コメント

先週末までボローニャに滞在していましたが、昼の暑さには参りました。30度はあったでしょうか、車の温度計は日当たり良い場所に駐車して戻った時は44度を示してました。(笑)

確かに夕方や昼でも日陰は涼しいのですが。

今回はイタリアに出発直前にヨーロッパで使うカーナビのチェックをしたら電源が直ぐに切れる状態になって焦りました。(しかたなく買換えするはめに)

カーナビが使えればボローニャの中でも快適で、以前に見かけたセルフでレジができるスーパに行ってセルフレジをやってみました。これは楽で良いです。

ボローニャのワインも美味しいですがモデナのワインが個人的に大好きです。

秋の夜長にワインも楽しんでください。

2011/10/04 (Tue) 06:40 | Moda #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

Modaさん、先週末までボローニャに居たんですね。この時期にしてはびっくりするほど暑くてボローニャの人々も驚いているのですよ。毎日30度に上がりますがこれも今週木曜日までだそうです。今週末は雨が降って駆け足で秋が深まるそうです。
ボローニャのワインも好きだしモデナのワインも好きですが、実はヴェネト州のワインが好きです。ワインには詳しくないけれど美味しいワインには目がなくて、しかし最近体調不良でワインを控えているんです。やはり健康は大切ですね。

2011/10/04 (Tue) 22:47 | yspringmind #- | URL | 編集

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