Fanano

Immagine 069 (Small)


9月になった。忙しく生活しているので9月を迎えた歓びを堪能している暇も無かった。しかし忙しいと文句を言っている訳ではない。忙しく生活できるのも健康ならではのことなのだ。だから忙しく生活できることを私は感謝しているのだ。それに好きでしていることだ。仕事をすることも人と会うことも相棒と週末遠くに足を延ばすことも。そんな自ら好んでいることを当たり前のように出来るのだから、感謝しない手は無いのだ。それにしても蒸し暑い一週間であった。そのうち雨が降るだろうと思いながら、遂にただの一度も雨が降らずにまた一週間が過ぎようとしている。今週末は雨が降ると言われていたので家でじっとしていようと思っていたが、降る気配が無いので相棒と昼前に家を出た。行き先はモデナ県のFanano という小さな町。二週間前にちらりと立ち寄ったが、あまりの暑さに辟易して30分もしないうちに立ち去った町だ。しかしその短い間に私達は興味深い光景を見たのだ。旧修道院の横を走る小道の向こう側に小さな食堂があった。店は休憩時間らしく閉まっていたが、店先で年配の女性が木箱に盛られた大振りのポルチーニ茸を奇麗にしていた。彼女は小さな刷毛のようなものでポルチーニ茸に付着している土を取り除いているのだった。ひとつひとつ丁寧に、笠の内側のひだのひとつも傷つけないようにして。その手つきと彼女の真剣な表情がとても印象的だった。旧修道院と食堂、それから町並みが気になって私達はもう一度この町を目指した。二週間前の賑わいはもう無かった。標高の高いこの町は多分避暑地みたいな存在で、だから夏休みの時期が過ぎると人口が少なくなるのかもしれなかった。町は驚くほど落ち着きを払っていたが、それが本来のこの町の姿なのかもしれない。私達はあの店を目指した。昼と言ってもも14時を回っている。店はまだ開いているだろうか。そうして行ってみると店にはまだ幾人かの客がいて、私達は店の一角に腰を下ろした。店主はお腹が大きくせり出したおやじさんだった。二週間前に店の前で見た光景が気に入って戻ってきたと言うと、それではと美味しいのを薦めてくれた。食事中に幾人もの客が入ってきた。皆店主と顔馴染みらしく、多分此処の住民だった。店主の気さくな性格のせいか、それとも美味い料理のせいか。どちらにしても地元の人が通うのだから良い店と判断して良いだろう。兎に角ひっきりなしに人が入ってきて、なかなか昼休みになりそうに無かった。そんな人達に挨拶をして私達は店を出た。Fanano の旧市街と呼ばれる地区の面積は小さく、30分も歩くと見て回れるくらいの規模だ。ところが歴史が深く見れば見るほど味が出る。歩いては足を止め、歩いては足を止め、私達は2時間も見て歩いた。町の人達は町の歴史を誇りに思っているらしく、私達が足を止めて見入っていると後ろから声を掛けて説明してくれた。良い町だ。美味しい料理も含めて、私はすっかりこの町の虜になった。曲がりくねった山道を散々運転して疲れたに違いない相棒が、ちょっと遊びにとは行かない距離だが時々戻ってきたい町、と言っていた。彼も相当気に入ったらしい。
暑さと山道には少々疲れたが土曜日を充分満喫してご機嫌だ。明日の日曜日は体を休めよう。やって来る新しい一週間の為に。


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