水のちがい

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先週末は長い夏期休暇を終えていつもの生活に戻る人達で道路が大変混み合ったらしい。その証拠に今朝の出勤時の鬱陶しさといったらなかった。いつもの生活に戻りきれない人達ばかりで訳もなく混み合っていると言っても良かった。泣く泣く生活の場に戻ってきましたと言わんばかりの人達。今年は清々しい気持ちで夏期休暇を終えていつもの生活に戻った私も、彼らの気持ちが分からないでもない。そうでなくとも夏の終わりというのは感傷的になるものなのだ。だから次の夏が来るのを恋焦がれるのだ。
今朝はとても涼しかったので涼しい1日になるのかと思ったら妙に蒸し暑かった。湿度だ。でも湿度といったら、やはり日本の夏である。そう覚悟をしてこの夏帰省したが、想像していたよりも湿度が高くて驚いた。そうだった、そういえば知人が言っていたっけ。ボローニャの湿度は湿度ではないのだと。私にとってはボローニャも充分湿度が高くて困るのだけど、それにしても何ということだろう。それから蝉の声。朝5時ぴったりに鳴き始める蝉。毎朝その声で目が覚めて、ああ、また5時に目を覚ましてしまったと後悔しながらもう一度眠りに落ちた。夏なのだから仕方ないとは言え、蝉も短い一生を力強く生きているとはいえ、毎朝5時には流石に参った。参ったこともあったけれど、様々な素敵を発見した。そのうちのひとつが水。私は忘れていたのだ、日本の水道水がこんなに軟らかいことを。日本に着いて2日目、洗顔後の肌が妙にすべすべしていることに気がついた。休暇中で睡眠時間をたっぷりとって、ストレスフリーで肌もリラックスしているのだろう。ところが翌朝手に気がついた。すべすべしている。何か特製のローションを手にすり込んだみたいな感触。顔にしても手にしても、何歳か若返ったような感じ。気のせいだろうか。姉にそれを報告すると、多分それは水だという。水? そう、日本の水道水は軟水だから。そういえば髪の毛もしなやかだ。水でこんなに変るなんて。それから毎日洗顔するのが楽しくなった。髪を洗って乾かすとふわふわさらさらしてご機嫌だった。なるほど、日本の女性の肌と髪はきめが細かくて美しいと外国では大変な評判だけど、ひょっとしたらその秘密は水にあったのかもしれない。それに気がついて嬉しくなって、そして急にしょんぼりした。日本に居る間だけのなのである、私のすべすべは。事実ボローニャに帰ってきて2週間が経つ今は、夏なのに手を洗う度にハンドクリームをつけなくてはならぬほどカサカサで、髪を洗った後のあのふわふわさらさらは何処にも無い。ボローニャの硬水と日本の軟水の間を往復して、早くも日本が恋しくてならない。


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