開放的な人達

ボローニャ郊外の、丘の町ピアノーロでは昨晩から大風が吹いている。家の前の大きな樹が大きく左右に揺れて素敵な音を生み出している。打ち寄せては引いていく波のような音。昨晩はそれに耳を傾けながら眠りに落ちた。眠りに落ちながらいくつかのことを思い出した。ひとつは母が昔言った言葉。風が吹く夜は早く寝たほうが良い。その真理は今も分からぬままだが、単に私を寝かしつける為に言った言葉とは思えない。何かしらの理由がある筈だ。それからシチリアの小さな漁村のことを思い出した。私と相棒が泊まった宿は海の目の前だったから細く開けた窓から波の音が夜通し聞えた。それは海にあまり縁の無い私にとってあまりに贅沢なことだったので、10年経った今でも時々思い出しては相棒に訊く。ねえ、覚えている? 夜通し波の音が聞えたことを。などと。最後に思い出したのは朝食用のビスコットが終わってしまったことだ。まあいいさ、1日くらいビスコットを食べなくても楽しい週末であるには違いないのだから。つまらないことを思い出したものだと心の中で呟きながらいつの間にか深い眠りに落ちた。今朝は昨晩より更に強くなった風で目が覚めた。大風は衰えることが無かったが、昼過ぎに家を出た。近頃、家と職場の往復ばかりでちっとも面白くないので、気分を一新しなくては。週末はいつもと違う物や人間を観察しながら歩くのが良い。お金の掛からない、そして大変健康的なリフレッシュの仕方である。大風に追われながら丘を下りボローニャ市内に入っていくと風は吹いていなかった。それどころか微動すらしない木々の葉。厚い雲に覆われて押し潰されそうな空気。そして恐ろしい湿度。実にボローニャらしかった。今日のボローニャは不思議な人が沢山歩いていた。初めに見かけたのは青い衣服を纏った4人組。カフェのテラス席に腰を下ろして冷たい飲み物を頂いていた。ヴェネツィアの謝肉祭でよく見るようなキラキラと光る青いマスクで顔を隠していた。そして少し先にいくとヨーロッパの何処かの町のお祭りで見かけるようなスカート姿の女性が居た。それから背中に銀色のドラムを背負って歩く人。よく見るとあっちにもこっちにも。そうしてPiazza Maggiore に辿り着くとそんな人達が集まっていた。本当に沢山。それでそのうちのひとりの女性に訊いてみた。16時にパレードが始まるのだそうだ。3000人を越える参加者が広場からVia Ugo Bassi、そして右に曲がってVia Marconi を真っ直ぐ北上して最後は金曜日、土曜日に市場が開かれる大きな広場まで練り歩くとのことであった。パレードの趣旨は不明。しかし不明というのは多分私が質問した本人がたまたま不明のまま参加することになっただけで、趣旨は何かしらあるに違いない。ふーん、面白そうねえ。そう言うと、彼女は嬉しそうに大きく頷いた。私はこういう人達が好きだ。何でも楽しんでしまおうと明るく開放的な人達。勿論彼女たちだって時にはつまらないことで悩んだり愚痴を言ったりすることもあるだろうけれど。さあ、私も彼女達のように楽しむことにしよう。と、また歩き出した。楽しい土曜日を満喫する為に。一週間の疲れから解放される為に。周囲の人々と笑顔を共有する為に。

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コメント

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夏のボローニャいってみたくなりました。yspringmindのように町を歩くだけでとても楽しそうです。歩けば町の様子がわかるので、私もてくてく歩くのが大好きです。

2011/06/19 (Sun) 08:14 | inei-reisan #79D/WHSg | URL | 編集
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inei-reisanさん、こんにちは。夏は確実に陽気ですね、冬が重苦しい分。今のうちに楽しんでおかなくては。そんな感じが人々の表情に浮かんでいるような気がします。ボローニャに遊びに来ませんか。美味しいワインでも一緒にどうぞ。

2011/06/19 (Sun) 19:28 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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