北イタリアに低気圧が訪れているそうだ。ボローニャより北のほうでは連日雨降りらしいけど、ボローニャは降ったり止んだり晴れたり降ったりの気まぐれな天気である。その気まぐれを嫌と言っているわけでは無い。一瞬でも太陽が出たり青空を望めることを私はとても嬉しく思う。昨日はそんな晴れ間に旧市街へ行った。用事があったわけではない。散策しようと思ったわけでもなく、言うなればちょっとした家からの脱出という奴だった。街にはボローニャ人よりも旅行者の方が多いようだった。早くも夏の休暇を楽しむヨーロッパの人たちや、それからボローニャの外からこの連休を利用して遊びに来ている人たち。耳を澄ましてみるとドイツ語やスペイン語、そしてナポリやローマのアクセントの強いイタリア語が聞えてきた。そういう彼らを私はとても羨ましく思う。そんな風に日常の場から脱出するのは良い気分転換になるに違いなく、今の私に一番必要なことなのではないだろうか。4連休は無理としても、近いうちに週末を利用してトスカーナへ行くのはどうだろう。そう、自分に尋ねてみる。シエナを訪れたのは19年前のことだ。ローマから北上して緑の濃いウンブリア州の町を幾つか見て回り一泊した。そして翌朝その足でシエナへ行ったのは確か予定外のことだったように覚えている。シエナという町を初めて見た時、あっ、と驚いた。シエナ色。私がまだ絵を描いていた頃、絵の具箱の中にそういう名前の絵の具があった。あの頃の私は何故そんな名前がつけられているのか不思議に思うことは無く、そういう名前の色なのだと思っていた。しかしこの町をひと目見て、そうか、シエナ色とはこの町の色だったのかと一瞬のうちに理解した。シエナ色が黄褐色ならボローニャ色は赤褐色。色が大好きで、見るもの全ての色に敏感に反応する私は、あの日、そんなことを相棒に言ったように覚えている。これから益々日が長くなるイタリアの長い夕方にシエナを散歩。疲れたら店に入って食前酒を頂くのも良い。そんなことを考え出したら急にわくわくしてきた。そうだ、シエナへ行こう。多分19年前と何ひとつ変わりないシエナの町へ。この辺でちょっと小休憩も良いだろう。

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