静かな日曜日

今日は静かな日曜日。復活祭の連休の真ん中の日。数日前のテレビでは今年は不況により復活祭の連休に何処かへ出掛ける人が少ないとのことであったが、私の周囲を眺める限りどの家も留守で例年通り何処かへお出掛けのようだ。そういう訳で辺りは静まり返っていて何時に無く静かな日曜日となった。と、ここまで書いて思い出した。昨日のことだ。私はバールでカッフェを頼んだ。最近気に入って足を運ぶようになったバールである。驚くほどの混みようだった。私は入り口近くのカウンターにサービスされたカッフェに砂糖を入れて小さなスプーンでかき回し始めた。かき回している自分の指先を眺めているうちにちょっとしたことを思い出した。昔々通ったカフェのことだ。海のあるアメリカの町に住んでいた頃に通ったカフェ。と言っても幾つもあるのだけど、私が思い出したのは街の中心を東西にふたつに割るようにして在った坂道の途中にあるガラス張りの小さな店で、カフェ・ロクサーヌと言う名前だった。この店のカッフェが特別美味しかった訳ではないが、店の名前と雰囲気が気に入って一時夢中になって通った。大抵友達と一緒に。でも長居は出来なかった。追い出されることは無かったが、客人が次から次へと店に入ってくるので、先に入って休憩し終わった人から後の人に席を譲る、そんなルールみたいなものがこの店の中にはあったからだ。例えば満席の店内に誰かが入ってくると、カップチーノも菓子も平らげ終えて新聞に目を通していた人がサッと立ち上がり、さあ、どうぞ、というように。誰にそうしろといわれた訳ではないが、そんな具合だったのだ。あの店はそんな風だから気持ちが良く、だから人気があったように思う。そしてあの店に通っていた頃の自分は、大変幸せだったようにも思う。何もかもがキラキラ輝いて見えた時代。私の宝物の時代。僅か一瞬のうちに思い出した筈なのに、実際はそうでもなかったらしい。隣に立っていた紳士に、お嬢さん、随分かき回すんですね、と声を掛けられて我に戻った。えっ、と私は驚いて顔を上げると紳士は言葉を続けた。多分50回くらいかき回した筈ですから砂糖は充分溶けているでしょう。他の事を考えて長いことカッフェをぐるぐるかき回していたことをちょっと恥ずかしく思って、うんうんと頷いてカッフェを飲みほした。うん、此処のカッフェはやっぱり美味い。店を出てから気が付いた。成る程。よくバールでカッフェをぐるぐるかき回している人達が入るけれど、案外皆考え事をしているのかもしれない。そうでなければあんなにぐるぐる出来ないもの。ふと横を見ると幸せな復活祭の卵たち。やっぱり春は良い。目に映る全てのものが幸せそうに見える季節なのだ。

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