ある店のこと

4月なのにまだ寒い北に位置する国に暮らす私の友人から届いたメールに、ダウンジャケットを着込んでテラス席に座ってカッフェを楽しむ人々のことが書いてあった。其の様子は笑えるけれど、気持ちは分かる。と、書かれていたのを思い出して今日までに何度思い出し笑いしただろう。そうだ、分からなくはない。夏時間になって、日照時間が延びて、テラス席が設けられていたら座りたくなるというものだ。外気はまだまだ冷たくても陽射しはもう冬の其れとは違うのだから。ボローニャなんて冬でもテラス席が存在して、人々はがっちり着込んでストーブの横の特等席を確保して、外でのカッフェを楽しむのだし。気温が急上昇したり急降下したり忙しいボローニャ。そんなことを気にしているのは私だけらしく、人々は一向に薄着で外の生活を楽しむのに夢中だ。寄り添ってPiazza Maggiore の様子を眺める男女を後ろから見つめながら、ある店のことを思い出した。原宿駅から真っ直ぐ坂を下だる道の途中の左手にある店だ。確かガラス張りだったと思う。店はそれほど広くなく、休憩に立ち寄る人で混み合っていた。それは私が大好きだった千疋屋。原宿に仕事や個人的な用事で足を運ぶ都度、この店に好んで入って小休憩をしたものだ。私が初めて千疋屋に入ったのは確か家族で銀座に行った時だ。フルーツパーラーと書かれていた筈だ。何となく時代遅れな感じがした記憶がある。十代半ばだった私には何だか古臭い印象の店で、他にもっと洒落た感じの店が沢山あるのに何故この店に? と少々不満を持ちながら。しかし嬉しそうに店に入っていく母に何か意見する勇気は全くなく、後に続いて入っていった。ところがところが出てきた物は全く正統派のデザートで、全くごまかしや細工の無い果物と生クリームの美味しいことと言ったらなかった。目を丸くして美味しいと驚く私に、母はそうでしょう? と言うような表情をしていただけだった。あれから私は千疋屋に首っ丈で、だから原宿駅のすぐ近くにこの店を見つけた時は飛び上がるほど嬉しかった。私は原宿駅界隈に公私共に行くことが多かったからである。其の類のことは思い出したら止まらないものである。うーん、千疋屋かあ。全く関係のない男女の後姿を見ながらそう呟き、忘れないように小さな紙に千疋屋と書き留めた。この夏大変久し振りに帰省する時に、うっかり忘れてしまわないようにと。

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コメント

No title

カフェ最高ですよね~♪
癒されます☆

2011/04/18 (Mon) 08:30 | 在宅仕事 #79D/WHSg | URL | 編集
No title

在宅仕事さん、こんにちは。カフェで寛ぐって本当に良いですね。大好きです。

2011/04/18 (Mon) 22:31 | yspringmind #79D/WHSg | URL | 編集

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