土曜日に外出を渋る

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このところ花粉症がひどい。その理由は知っている。アパートメントを取り囲む樹々が一斉に花を開かせたからに違いなく、窓越しにその美しい様子を眺めながら感嘆の吐息を漏らすものの、同時に家の外に出るのがひどく億劫なのである。昔は花粉症なんてなかった。それがイタリアに暮らし始めてすぐに花粉症に掛った。それを私はイタリア生活アレルギーと言って相棒を困らせたものだが、花粉症などには掛ったこともない相棒には、このアレルギーは実に不可解だったようだ。それが今年になって初めて花粉症に掛った相棒は、この世の終わりと言わんばかりの大騒ぎで、君、私は23年も前からこれに悩まされているのだよ、と、相棒を静かに窘めるのだ。外の花粉が落ち着くまで、あとひと月は掛るだろうか。それとも少し雨が降ったらば、雨に洗浄された空気が私達に一瞬の平安を与えてくれるのかもしれない。

折角の土曜日なのに外に出るのを渋っていたら、そんなのは君に全然似合わない、と言われ、その言葉に背を押されて外に出た。運よく直ぐにバスが向こうの方からやってきて駆け足でバスに飛び乗ったらバスの中は思いのほか空いていた。イタリアは4月25日と5月1日の祝日で、日本風に言えば飛び石連休なのである。どうやら多くのボローニャ住人が、街の外に出ているらしい。いつもの土曜日の此の時間なら、こんなに空いていることはない。旧市街の真ん中でバスを降りた。街は人で一杯だったが、耳を澄ますと直ぐに分かった。ボローニャの外からの旅行者らしい。皆、のんびりゆったりポルティコの下を歩くので痺れが切れそうになったが、そういえば今日は土曜日で、自分が何処に何時に行かねばならぬでもないことに気付いて、やれやれ、いつもの忙しい生活の癖が週末にまで続いている、と少々呆れてしまった。気持ちを切り替えるのは大切なこと。今日は何をせねばならぬこともない自由な土曜日。私もゆっくりのんびり行こう、と周囲の人達に歩調を合わせて歩くことにした。歳の頃は60代半ばの外国人夫婦。肩を並べて歩く。ほら、こっちに、と自分が見せたいものを見つけると夫の腕を引っ張る妻、そして夫も自分の好きなものを見つけると妻の肘を引っ張る、そんな彼らの後ろを暫く歩いた。別に後をつけていたわけじゃない。ただ、ポルティコの下が混んでいて、追い越すこともできなかっただけだ。北欧からの旅行者らしい。明るい金色の短い髪をした妻は俗に言う美人さんではなかったが優しい性格なのだろう、表情が柔らかくて美しいと思った。夫の方はごく普通の、しかし愛妻家らしく、妻が話しかけるとうんうんと妻の目をしっかり見ながら頷く姿がとても良かった。私と相棒がそういう夫婦にいつかなるかどうかは大きな疑問だが、世界の何処かにこういう夫婦が存在するだけで救われる思いだった。ブラウスを一枚新調したくて気に入りの店の前まで行ったが、店内は酷い混み具合で尻込みしてしまった。私は道が混んでいるのも好ましくないが、買い物をするために入る店が混んでいるのはもっと好まないのである。買い物はじっくり考えてしたいものだし、それに店の人が忙しくてきちんと対応してもらえないのは残念なことだからである。次の店に向かったが、其処も大変な人混み。今日みたいな日に買い物をしようと思ったのが間違えだった、と来週の平日に出直すことにした。ああ、喉が渇いた、と、いつものバールで自家製アイスレモンティを注文して小休憩。そしてまた歩く。いつもの運動不足を挽回するかのように。恐らく晩には足がつかれ唯の背中が痛いだの文句を言うに違いないけれど。天気の良い休みの日に大好きな散策をしなくてどうしよう、と。

近頃夜に大変弱い。突然睡魔が襲ってくると、その後のことはもう覚えていなくて、気付くと朝になっている。だから上に書いたことも昨日のことになってしまった。日曜日の晩の薄明るい空には明るい月。明日の晩は満月だから、特別なワインの栓でも抜いて祝ってみようと思う。




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海のある街

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穏やかな朝。イタリア解放記念日に相応しい穏やかな空。1945年に解放されたイタリア。ラジオでその通達を聞いた人達の多くは、既に空の住人になっていて、それに含まれぬ人達は今日と言う日をテレビや新聞を眺めながらとても感慨深そうだ。姑、姑はどうだろう。遥か昔のことだ。多くの記憶の箱をどこかに置き忘れてきてしまった彼女だが、しかしこの日のことくらいは、年に一度、古い古い記憶の箱を開けて様々なことを思うのかもしれない。戦後に生まれた人達の多くは、4月下旬と言う素晴らしい季節の祝日として恩恵を受けていて、しかも5月1日の休みまでを連休にして楽しむのがイタリアの習わしになりつつある。そして外国人の私にとっては、あまり沢山存在しないイタリアの祝日として、楽しまない手はないという訳だ。一週間の真ん中の祝日。こんなに嬉しいことはない。


急に日差しが強くなった。こんな天気の日は海辺に行きたくなるものだ。それとも山に行きたくなるものなのかもしれない、と思いながら、そうだ、私は海の街に初めて暮らすようになったことを喜んで、空が晴れると何時も海へ海へと向かっていたことを思いだした。サンフランシスコに暮らしていた頃のことだ。
海へ海へとは言うが、海の中に入ることはなかった。海の水は夏場でも冷たいからだった。と言ってもそれは私が海に入るパッションに欠けていたからとも言える。何故ならそんな海にざぶざぶと入っていく人だっていたのだから。私が海に求めたのは、波の音や潮の匂い。それから砂浜や岩場を歩きながらお喋りをしたり考えたりする時間だった。ダウンタウンのアパートメントから数ブロック上の坂道に面したアパートメントに友人と暮らすようになると、別に海が近くなったわけでもないのに海に足を運ぶ回数が増えた。友人が私を海に誘ったのもその理由のひとつだけど、アマンダという名の友人の家にあった貝殻のせいだ。アマンダは裕福な母親を持つ写真学校の学生だった。母親に言えば資金は出して貰えるに違いないのに、それを嫌って小さなアパートメントを借りて、アルバイトをして、彼女の背景を知らない人達はアマンダを苦学生と思っていたに違いない。あまりに小さい部屋。しかし其の小さな空間は真っ白に塗られていて置かれているものも白かったから、小さな部屋が広々として見えた。アマンダ流の工夫だった。彼女は海が好きで、時間があると海辺を散歩して貝殻を拾った。彼女なりの拘りがあって、平たくて丸いものが良いらしく、気に入った物だけを袋に入れて持ち帰った。収穫なしの日もあればいいのが幾つも見つかる日もあったらしい。それを家で丁寧に洗って乾かして、出窓の小さなスペースに並べていた。それがとても素敵だと褒めると彼女は大変喜んで、私にと言って箱に詰めて持たせてくれた。私の部屋は彼女の部屋よりも広いが殺風景だった。彼女の部屋ほどいい感じでなくてもいいから、もう少し好感を持てる部屋にしよう思ったものだった。海に行けば彼女の部屋にあるような貝殻がある。私が海へ行くようになったのはそんなことだったのではないだろうか。サンセット界隈の向こうに広がる太平洋。昼間の海辺を歩いても何も感じないくせに、夕方散歩すると、ああ、この海の向こう側に家族が居るのだ、私が生まれ育った日本があるのだと思った。それは多分夕日が綺麗だったからだろう。夕日が私を少々感傷的な気分にさせたに違いない。しかし、感傷的な気分にはなったが、家族のもとに帰ろうとは思わなかった。私は此処での生活が気に入っていたし、出来ればずっとこの海のある美しい街に暮らしたいと思っていたから。私があの街の生活が恋しいと思うのは、相棒とふたり暮らしをした良い界隈のフラットや私達を取り囲む友人知人達、それから坂のある街並みや街の空気だと思っていたけれど、そればかりではないことに気が付いた。海が恋しいのだと思う。夕方には冷たい風が吹いて夏でもジャケットやスカーフが必要な、あの海。貝殻を拾いながら、後ろから走って来た犬に驚かされたり、相棒や友人と肩を並べて海辺を歩いたあの時間。あの素朴な海は、イタリアにはない。イタリアの何処を探しても同じ海はない。

昨夕、旧市街を歩いていて見つけた。美しい藤の花。ボローニャには藤の花が良く似合う。そうか、そんな季節になったのかと思った。此処にはあの大好きな海はない。けれども、ボローニャがいつの間にか自分の街になっているのを、私は密かに気付いている。




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花屋のこと

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階下より明るい声が聞こえてきた。窓の外を覗いてみたら上階の夫婦が敷地に駐車した車の掃除をしていた。テラスに出て外を観察しているうちの猫を見つけると、彼らはいつも声を掛ける。やあ、かわいこちゃん。と、こんな風に。だからうちの猫は彼らのことが大好きだ。四輪駆動の大型車を二台所有しているのは、彼らが家族みんなで頻繁にボローニャ郊外の山や、オーストリアの妹夫婦の家に頻繁に足を運ぶからだろう。夫はボローニャ市内の職場へ行くのに毎日大型スクーターを利用している。その方が早いし、兎に角便利だから、と言うことだった。彼の洒落っ気はこの辺りでは有名。サーモンピンクのコットンパンツに袖口を少しめくり上げた白の麻のシャツ。素の足首を出してスエードのモカシンを履いて、颯爽と道を駆け抜けていく。ヘルメットを着用していてもそれが彼だとわかるのは、既に白いものが沢山混じっている口髭と、ヘルメットにおさまりきらなかったやはり白いものが沢山混じった巻き毛。そして洒落た着こなしだ。昔はさぞかし持てたに違いない、と言うのがこの辺の人達の声で、女性も男性も、少しながら彼にあこがれている節がある。その彼の今日の出で立ちは、半袖シャツに短パン。妻の方も袖なしシャツに短パン。その様子から外が充分暖かいことが分かる。つも綺麗な彼らの車は、こんな風にして保たれているのだなあ、と知った日曜日の朝だった。

こんな気持ちの良い天気の日には、友人の両親が営んでいた花屋を思いだす。店は旧市街の端っこにあった。古い建物の地上階にある店の中には切り花が、そして建物の背後に広がる庭に植木が置かれていた。彼らは長年その建物の上階に住んでいて、友人もまたそこで生まれ育った。大通りに面していないが、この辺りの人達は誰もが知っている花屋で、常連も多くうまくやっていた筈だ。友人がふたりの小さな子供たちを両親に預けて夫と旅行に出掛ける時などに手伝いを頼まれて、この花屋に行くことがあった。私の手伝いとは花屋ではなく、預けられたふたりのの子供たちだった。両親の家で一緒に昼食を頂くこともあった。忙しいはずなのに手を抜かぬ昼食で、いつも感心したものだ。手打ちパスタやじっくり時間を掛けたラグー。肉の煮込み料理もあれば、野菜のオーブン焼きもあり、この家の昼食の御呼ばれはどのレストランに行くよりも嬉しかった。午後のおやつを広い庭で頂くこともあった。かけっこをしたり、手をつないで散歩したり。本を読んだり。子供たちがとてもなついていた分だけ、楽しい思い出ばかりが残っている。その花屋も随分前に店の場所を替えた。前の店からは目と鼻の先の同じ界隈で、今度は人通りの多いポルティコの下。場所を替えたくなかったけれど、替えざるを得なかったのだと両親は残念そうに言っていたから、恐らく建物の主とうまく折り合いがつかなかったのだろう。最近店の前を久しぶりに歩いて驚いた。店は閉まっていた。シャッターが硬く下ろされていて、貸店舗の札がかかっていた。でも、別に商売がうまくいかなかったのではないだろう。恐らく彼らは年金生活にはいる決心をしただけだ。ふたりとも70歳にはなっているはずで、朝の早い花屋の生活をおしまいにすることにしたのだろう。しかし、この界隈の小さな歴史が閉じたような気がして、ちょっぴり寂しくなった。

窓の下の隣人の庭に咲いていたたんぽぽ。黄色いたんぽぽの花が沢山咲いていて、とても賑やかで、陽気で、楽しそうだった。私は知っている、猫がその情景を窓から眺めるのが好きだったのを。午後になって猫が私を呼ぶかのように幾度も鳴くので、窓のところに行ってみたら、あっ、一昨日まで咲いていたはずの黄色いたんぽぽの花はすっかり綿毛になっていた。季節が駆け足で通り過ぎようとしているのを感じた。




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初夏へ

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本日も気温上昇。少し歩けば汗ばむほどだ。軽装で外に出たというのに。家のすぐ近くの停留所からバスに乗らずに、少し歩いてみた。この辺りは意外と緑が多いので、こんな風にして歩くのも悪くない。冬の間中、枯れ木のようだった他所の庭の木は既に新緑で覆われていて、春と言うよりも初夏のような賑わいだった。初夏。そういえばこのところの気温も初夏のようで、今日は27度にもなるとのことだった。きちんと日焼け止めを使用しないとひどい目に合う。それはイタリアに来て直ぐに分かったことだ。この国には美白というものは存在しない、と私は思う。それよりも如何に綺麗に陽に焼くか。それが大切なのだ、と理解している。しかし私は色黒なので、あえて肌を陽に焼く必要はあるまい。昔は使ったこともなかった日焼け止めを、イタリアに来て使うようになった。暫く歩くと、あ、この優しい匂いは知っている、と思った。栃ノ木の花だ。この木は何処でも育ちやすいのか、行く先々で見かける。秋には葉が落ちてどうしようもないと憎まれ口をきく人もいるけれど、私はこの木が大好きだ。今住んでいる家に決めたのは、居間の窓の前に栃ノ木があるから、と言ったら人は驚くかもしれないが、それは別に冗談ではなくて、此処に決めた幾つかの理由のひとつだった。美しく優しい匂い。しかしあまり長くは続かぬ。ほんの10日間ほどの花の生命だ。

髪を切りに行った。予約はしてあるのに混んでいて、待つ時間が長かった。この店に通い始めて一年経ったが、これは珍しいことだった。と、入り口のブサーが鳴った。店の入り口には鍵がかかっているので、店内に入りたい人はこの様にブザーを鳴らすことになっている。防犯のためだろう。旧市街にはこうした店は案外多く、特に小さな店、それから高価なものを置く店などがこうしたシステムを利用している。と、扉を開けて入って来たのは3歳ほどの少年だった。冬休みに髪を切りに来た時にも彼はこんな風にして中に入って来た。話によると彼の名はアンドレア、店のすぐ近くに住んでいて、毎日話をしにやって来るのだそうだ。とても子供子供しているかと思えば礼儀正しく、Buongiornoと店に居る皆に挨拶をしてから本題に入る。本題は、どうして店主はいつも休み時間を取ることなく、立ちっぱなしで働いているのか、と言うことだった。と言うのも、他のふたりは午前と午後に小休憩と言って隣のバールにカッフェをしに行くのに、店主は全然行かないじゃないか、と言うことらしかった。彼はいつもバールの前のポルティコの下で他の子供たちと遊んでいるから、そういうことが分かるらしかった。それを聞きながら、子供と言うのは本当によく見ているものだ、と皆が感心し、とにかく5分小休憩をとってバールに行って来いと皆に背を押されて店主は少年と共に店を出ていった。そして小さなカッフェの器を幾つか乗せた銀色のトレイを片手に店主は帰って来た。カッフェをお客さんにと。こういうところが店主がアンドレア少年に好かれるところなのかもしれないと思った。カッフェを配り終えると店主はガラスの向こうに立っていた少年に親指を立ててウィンクを投げた。うまくいった。みんな喜んだよ。そんな感じに。それで納得したらしく、少年は大きな笑顔を手を振ると店の前から姿を消した。来月この店に行くと、また少年に会うのかもしれない。そうであればいいと思う。

クローゼットの奥から夏物を引っ張り出したのは早過ぎただろうか。昨年のシャツ類を見て愕然としたのは、もう何年も着て、洗濯をして、くたびれた感じが否めなかったからだ。それに、昨夏このくたびれた感じのシャツを着ていたのかと思ったら、うーん、と唸ってしまった。好きなものは何年でも飽きるまで着るのが私流ではあるが、夏のシャツは例外。予算はあまりないけれど、数枚新調することにしよう。ウィンドウショッピングの楽しみが増えたと思えばいい。




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小さな色々

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思いがけず気温が上がった金曜日の午後。朝家を出る時は風が吹いていたから、まさか此れほど暖かくなるとは思っていなかった。午後を過ぎる頃には25度にも上がって、街を歩く人達の姿は実に様々だった。まさか此れほど暖かくなるとは思っていなかった、朝8時ごろには家を出た人達は春のコットンセーター、そして軽いジャケットを手で持っていたし、遅くに家を出た人達は半袖シャツ、暑がりさん達は早くも袖なしシャツ姿。暑がりさんとは多々してロシアや北欧出身の人達で、25度くらいが真夏の気温の国に生まれ育ったから、たとえ周囲の人達がまだそれほど暑くはないよと言っても、もう夏だと言わんばかりに薄着になる。私のような寒がりには、その袖なしシャツ姿はあまりにも危険に目に映る。危険。無謀と言ってもいいかもしれない。風邪を引かないようにね、と心の奥底で語り掛けるのだ。しかしあまりに暑いのでジェラートでも、と思ったけれど、歯医者の帰りにジェラート屋に寄り道と言うのもなあ、と思い、目をぐっと瞑ってバスに乗りこんだ。いや、虫歯に違いないと思っていた歯は虫歯疑惑は晴れたけれど、しかし歯医者の帰りのジェラートはあまりに矛盾し過ぎていると思って。

家の近くのバス停よりも少し前で下車したのは青果店に立ち寄るためだった。あった、あった。アスパラガス。ぷっくりと太いアスパラガスではなくて、細身のもの。店主に訊くととても柔らかくて美味しいらしい。びっくりするほど安価だったので、ふた束購入した。アスパラガスのリゾットを作ろうと思って。それから、パンチェッタとアスパラガスのパスタもいいだろう。そら豆もと思ったけれど買わず。こちらは驚くほど高価だった。そら豆と言うのは何故もこう高いのだろうと、昔からずっと思っていた。日本でも、アメリカでも、イタリアでも。それにうっかりするとすぐに季節が終わってしまう。それが私にとってのそら豆だ。アスパラガスと苺を入れた袋を手に提げて家に帰ってきたら、庭でシャネルに会った。シャネルは隣人の、気が強くて私と相棒を見つけると猛烈に吠える薄茶色のチワワ。シャネルなんて優雅な響きの名前を持つが、その吠え方は尋常でなく、いつも飼い主に叱られている。吠えるが、しかし私達を嫌っているのではないらしい。その証拠に足元に纏わりついて、時には足首にしがみついて、その姿は遊んでほしいと言っているかのようだ。それとも袋の中の美味しい匂いに気づいたのかもしれない。何しろ彼女の食生活は豊かで、美味しいものをよく知っているから。飽食しているからなのか、久しぶりに会ったシャネルは随分と丸くなっていて、あなた、本当にチワワ?と訊きたくなるほどだった。

春はいい。しかも金曜日の晩だ。人々は朗らかで、空はいつまでも明るいし、もう冬のことなど思いだすことが出来ない。そのうち夕方の空にツバメが飛び交うようになるだろう。春先に引いた風邪も完治して、これを幸せと言わずに何と言おうか。




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