私の傍らには藤の花が咲いていた

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散歩をしていたところ、藤の花が咲いているのを見つけた。ほんの少し例年より早いような気がするが、気のせいだろうか。ほんの少し春が駆け足で進んでいるような気がするのは私だけなのだろうか。それは別にして、藤の花は何と美しいのだろう。まるで優雅な貴婦人のよう。

私にとって藤の花は、初めてのローマ暮らしに繋がっていて、20年経った今も、そしてこれから先も、忘れることはないだろう。ローマの強い春の日差しの下で手紙を書いた、私の傍らには藤の花が咲き乱れていて、それがひとりぼっちの私を支えていた。あんな素敵な職場はなかったと思う。隣の建物はテッラコッタの工房だった。とても興味深くてよく足を運んだ。私の上司はとても優しい人で、相棒と離れてローマに暮らす私に気を使ってくれた。時々、休憩と称して外に連れ出してくれた。ある時は近所のバールに。ある時は隣の工房見学に。ひとりぼっちを自ら選んでボローニャを出てきた私は寂しいなんて言える立場ではなかったから、そんなことは言ったためしがないのに、上司に限らず周囲の人たちはこんな風にして私を外に誘い出してくれた。私がローマに特別な感情を持っているのは、そんな人たちが居たからだ。私が感謝してもしきれない人たちの存在。そうした思い出がすべて藤の花に繋がっている。美しい藤の花。青い空。眩い太陽。
私が働いていた会社は、もう何年も前にあの場所から立ち退いたらしい。でも私の思い出はいつもあの場所にある。ずっとあの場所にある。

雨が降ると言っていたが、雨粒の一滴も落ちてこなかった日曜日。窓の前の栃ノ木はすっかり新緑に覆われていて、早くも花を咲かせようとしている。そんなに急がなくてもいいのに、と思うほど。もう少しゆっくり行こうよ、と声を掛けたくなるほど。今週の一週間、私は自分にそんな言葉を掛けながら過ごそうと思っている。ねえ、もう少しゆっくり行こうよ。




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コメント

No title

古い藤の木が田舎の家の台所の窓の前に植わっているのです。 門の上を渡って壁伝いに駐車場まで。 そばによると ハチがぶんぶん 言っているのが聞こえます・来週ぐらいが見頃でしょうか・
季節の香りを伴った思い出は素敵ですね・ 毎年 毎年 うれしく思い出せますもの・

2017/04/03 (Mon) 15:15 | kimilon #036/uE16 | URL | 編集

こんにちは。
テレビでシチリアをしておりました。
アランチーニ、カンノーロ、ブルーチーズのムース、トリュフ入りハム、パンにはさんだジェラート。
とにかく全部おいしそうでした。

2017/04/04 (Tue) 14:44 | つばめ #- | URL | 編集
Re: No title

kimilonさん、こんにちは。田舎の家の台所の窓の前に藤の木が植わっているのですか。それも古い藤の木が。それはとてもステキ。藤の木は成長すると驚くほどのボリュームになって、それはそれは素晴らしい姿ですよね。蜂!そうそう、蜂が沢山やってきますね。それだけ蜜がおいしいのでしょう。日本にも藤の花はありますが、何故か藤を見ると大変ヨーロッパ的だと思うのは何故なのでしょうか。

2017/04/04 (Tue) 23:21 | yspringmind #- | URL | 編集
Re: タイトルなし

つばめさん、こんにちは。テレビでシチリアを見られたそうですね。アランチーニ、カンノーロ。うん、うん。しかしブルーチーズのムース、トリュフ入りハムは知りませんでした。パンにはさんだジェラートはボローニャにもあるんですよ。でも、これってシチリアの食べ方なのかもしれませんね。美味しい…けれどお腹が一杯になりすぎます、私の場合。

2017/04/04 (Tue) 23:23 | yspringmind #- | URL | 編集

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