美しい布地

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旧市街で見つけた。美しい布地。これは何に使うのだろう。日除けの為のカーテンにもよいけれど、ソファに張るのもよいだろう。それとも大きく切り取って額の中に納めたならば、絵画のように鑑賞することもできるだろう。春の花が満載の中に雉が存在するのを認めながら、ふと亡くなった舅のことを思いだした。舅が見たら喜んだだろう。彼は雉が大好きだったから。なかなか高そうな店で私には少し敷居が高いが、今度入ってみようと思う。此の布地を1メートルほど購入して、そうだ、壁に張り付けてみよう。




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旅先

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昨日、クリスマスツリーの飾りをひとつひとつ包みながら片付けていたところ、気が付いたことがある。4歳になったうちの猫。そろそろ子供心が抜けてツリーに登ることがなくなったようだとこの冬の様子を眺めながら思っていたが、いいや、そんなことはなかった。イタリアではツリーのてっぺんにPuntale di Nataleと一般的に呼ばれている先の尖ったものを飾るのだが、うちの其れは銀色のガラス製で、数年前に新調したばかりのものである。それを手に取って紙に包もうとしたところで気が付いた。引掻いた痕があった。昨年には無かったから、この冬ついたものである。誰も居ない平日の昼間の間に猫がツリーによじ登って、遂にてっぺんまで到達できた記念につけた印に違いない。念願達成、というところだろうか。それは良かった。これで彼女も満足して、来冬はツリーに登ることはないだろう。何しろ念願は達成したのだから。

夢を見た。私は何処かを歩いていて、それが何処なのか歩きながら考えている夢だった。見たことのある街並み。入ったことのあるカフェ。何処までも続く長い上り坂に溜息をついて、途方に暮れている自分。道は古い石畳で、足がどうしようもなく疲れていた。射るような太陽。でも、不思議と汗は掻いていない。どうしようと思っているところにトラムが来た。其れでわかった。歩いている街はリスボン。数年前の夏の記憶だ。旧市街のカステラ屋さんからアパートメントを借りた。確か16日ほどいた筈だ。特に予定もなければしなければならぬことも無く、朝起きて今日は何をしようと考える、そんな休暇だった。そんな私に驚いたのだろう、親切な家主が小旅行に誘ってくれたのは嬉しい思い出だ。だからなのか、あの夏の、あのリスボンでのことは度々夢に出てくる。其れも6,7年も経てば少しは記憶が薄れていくのか、歩いている街が何処なのか、夢の中で考えなければならぬようになった。そろそろリスボンに行ったらどうなのか、ということなのだろうか。それもいい。あの街は実に気持ちが良くて、相性が合うから。空が青いのも好きだし、海かと思うほど広々とした河から吹く風も好きだし、こんな店と思うような古ぼったい店に入って焼き魚を食べるのも好きだったし、そんな店で居合わせた隣のテーブルの人達とワインを食べながら言葉を交わすのも好きだったし。ただ、もうひとつ気になる街があるのだ。リヨン。此れほど惹かれているのになかなか腰が上がらないのは何故なのか、、実は自分でもわからない。リヨン。そろそろ行ってみようか。

月の美しい夜。久しぶりに月の存在に気がついて、なぜ今まで気づかなかったのかと自分に問う。心に余裕が無かったのだろうか。そうだとしたら困ったものだ。少し立ち止まって気持ちのねじを緩めねばならぬ。気持ちを引き締めるのと心を縛るのは同じことではない。引き締まった気持ちの時も心は自由にしておきたい。




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向こう側の界隈

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寂しげな居間。今日は朝のうちにクリスマスツリーを片付けた。飾る時はわくわくしながら。片付ける時はちょっと寂しい。片付けに2時間もかかったのは、すっかり増えたオーナメントをひとつひとつ薄い紙に包まねばならなかったからだ。ヴィンテージのオーナメントは繊細なガラス製で、ちょっとしたことで壊れてしまうことが分かったからだ。普段なら面倒くさいと思うに違いないこの作業は、実はとても楽しかった。居間の一角を占領していた大きなクリスマスツリーが忽然と消えて、すっきりしたと言うよりは寂しくなった感が強い。向こうの部屋からやってきた猫が居間に入るなりあの一角を探し回る。そして遂にツリーが無くなったことを認めると、ミー、と、それは驚くほど長く大きな声で鳴いた。叫んだと言った方が良いのかもしれない。その後はいじけてしまってどうしようもなかった。ごめん、ごめん、と背中を撫でながら詫びたが、彼女の心の空洞は埋めることができそうになかった。大好きなクリスマスツリー。様々な色のオーナメントが吊る下がっていてぴかぴか光って美しい、大好きなクリスマスツリー。次の12月までさよなら。

午後になって外に出たのは空がとても明るかったからだ。明るい空。こんなに空が明るいのは久しぶりだと思った。外気は相変わらず冷たいから、しっかりと着込んで。ニット帽を被って、革の手袋をして。七つの教会群前の広場では骨董品市をやっている筈だが、今日の目的地はもう少し先。近頃足を運ばなくなった界隈だ。Colleggio di Spagna(スペイン大学とでも訳せばよいのか)のある通りで、道にその名前がそのまま付けられている、とても古い界隈である。勿論ボローニャ旧市街は何処もかしこも古いわけだけれど、この通りに来ると格別な古さを感じるのは、多分、14世紀に建てられた、この建物のせいに違いない。20年ほど前はこの辺りをよく歩いた。友人がこの近くに住んでいたし、友人を訪ねた後にぶらりと歩くことがあったからだ。それが今ではこの辺りは、重い腰を上げなければ歩くこともない界隈になった。嫌いなわけではない。味のある、興味深い界隈だからに。敢えて理由を探すなら、方向違いだからだ。家からバスに乗って旧市街へ行く場合、この界隈は旧市街の中心の向こう側に位置するのだ。もし私がこの界隈に都合の良い場所に住んでいたならば、サント・ステファノ界隈が足を運ばぬ場所となっていたに違いない。散策好きと言いながら、私はいつだってこんな感じだ。無精者なのだ。今年はこの不精を少し克服したいと思っているが、さて、どうだろう。ところで此処に来たのは、別に単なる散策や、ましてやColleggio di Spagnaを訪れる為でもない。店の名前はCorameria Tibaldi。歴史は案外古く店を開いたのは1934年らしい。当初は靴を作る職人が居たそうだが、今は革製品の手入れに必要なものや革製品、靴に関わるものを所狭しと置いている、ボローニャでは案外有名な店だ。店に入るとまるで昔の煙草屋に入ったような錯覚に落ちる。客がふたりも入れば一杯になってしまうから、時には店のドアの外に列が出来る。私がここを知ったのはもう何年も前のこと。柔らかい革の鞄を購入した時に、どんなもので手入れすればよいのかと店の人に訊いたところ、Corameria Tibaldiへ行けば教えてくれる、あの店の人に訊けば間違えないと言われたことが始まりだった。店では革製品のクリーニングと修理もしてくれるが、例えば自分でしたい客には丁寧に方法を教えてくれる、実に良心的な店である。今日はこの店に革の手入れをするクリームを入手に行ったのだが、気に入りの製品が無いと言う。無いと言うか、もう手に入らないのだそうだ。そんな! と愕然とする私に、女主人は首を横に振りながら話し始めた。どうやら女主人も、そして多くの客もこれには大変失望していて、その代わりに置くようになったのがこれだと言って角ばった容器を目の前に置いた。現在手に入るもので良質なのはこれ。でもあのクリームにはどうしても及ばない、というのが彼女の評価だった。それから私達は他に客が居ないことをよいことに、それについて30分も話をしただろうか。結局彼女はこれからも上質のクリームを探し続けると言うことで話をくくり、私はその代金を支払って店を出た。私が店を出る時に彼女が言った。あなたとこういう話が出来たのは良かったわ。だから私も言った。こういう話、好きなのよ。また来るから、と。
土曜日の午後の旧市街は人が多いが、この界隈は静かなものだ。其れも夕方になれば人が増えるのかもしれない。

探している襟巻は見つからないが、全然見当違いの襟巻を購入した。こんな感じのは全然探していなかったが、首に巻いてみたら悪くなかった。春先の丈の短い革のジャケットに合わせたらいいだろうと思って。春先の・・・。そうだ、あと2か月もすれば早い春がやって来る。




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女性客

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長い一週間だった。休暇明けとはこう言うものだとは知ってはいたけれど、一向に片付かぬ仕事に目が回るような思いだった。しかし自分が好んでしている仕事なのだ。誰に頼まれたでもなく、誰に強いられたでもなく。そのうち落ち着くだろう。だから暫く辛抱強く居ようと思っている。そのうち明るい光が見えるさ、と思って。

仕事帰りにいつもの店に行こうと思ったところで思いだしたのは、店が2週間の冬休みを取っていることだった。そういえば此の休みの間に改装工事をして、1月終わりには新しい内容で店を開けると言っていたっけ。フランス屋のことだ。私が仕事帰りに時々立ち寄っては立ち飲みワインを頂きながら店主や居合わせた客たちと談話を楽しんだ、あのフランスワインの店のことだ。私は此の店に足を運ぶ客たちが好きだった。私の周りに居ないタイプの人達がこの店に通っていて、着こなしといい、話すことといい、彼らの拘りといい、私は驚き、興味を掻きたてられて、何時も耳を傾けていた。特に女性が面白かった。私より少しくらい年上に違いないような人達。私のような平凡な人はあまり居なかった。あの店に居ると私は超がつくほど普通で平凡な客だった。私は彼女たちの話の内容から、一体何をする人達なのだろうと想像ばかりしていた。その店も1月5日で幕を閉めて、今度は世界のワインとチーズを扱う店になるらしい。それはなかなか良い案だと思うけれど、少しは客層が替わるのだろうと思うと、私はちょっと残念なのだ。それとも幅広くなってますます面白くなるのだろうか。そうならばいいけれど、と心から思う。仕事帰りの立ち飲みワインが楽しくなるような店になればいいと思う。

冬のサルディが始まったので襟巻を新調しようと思っていたのに、此れだと思うようなものに巡り合えない。薄手の肌触りの良いウールとシルクの混合の、大きめのものがいい。首にぐるぐる巻きしても首や肩が凝らないような、柔らかで軽いものがいい。グリーン、グレーそしてターコイズブルーなどが入り混じったような感じの。と、具体的なイメージを持っている私に、どの店の人も目を丸くする。何だかとても素敵そうだ、と言ったのは2軒目の店の人。そんな感じのは春先に出るかもしれないと言ったのは、何軒目の人だっただろうか。
明日はどうだろう。散策に出掛けることが出来るだろうか。まずはクリスマスツリーを片付けてから。それが今週末にしたいことのひとつだから。




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水曜日

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冬の休暇が終わって3日経った。緩い生活をしていた分だけ、この規則正しい社会生活が堪えるのは、私だけではないだろう。仕事帰りの寄り道散歩。寒くてどうしようもないのに、散歩は出来るだけしたいと思う。風邪を引かぬようにしなくては。バールに立ち寄って、ちょっと温かい飲み物でも頂くとしよう。

うふふ。後2日で週末だ。




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