元気で居たい理由
- 2022/05/21 22:30
- Category: bologna生活・習慣

まだ5月もやっと下旬になったばかりと言うのに。今からこんなに暑くてこの先どうなることやら。朝目を覚ましたのはいつもより数時間多く眠ってからのことだった。太陽は既に空高く昇り、開け放った窓から近所で話をする人達の賑やかな声が飛び込んできた。皆、大そう機嫌が良く、犬もまた愉しそうな声を上げていた。窓の前の栃ノ木もアカシアの樹も、既に花を落としたけれど、美しい新緑が嬉しかった。テラスではジャスミンの花が咲き乱れ、それから柚子の樹にも小さな花が咲き始めた。上手くせれば今年は、案外多くの柚子の実が収穫できるのかもしれない。昔の私は樹だったのではなかろうかと思うほど樹が好きだ。街を歩いていても時々樹の前で足を止めてしげしげと眺める。時には通りがかりの人が何があるのかと言いながら私の横に並んで眺めることがある。そんな時は美しい樹だとか、枝の広げ方が興味深いとか答えると、大そう驚かれる。毎日此の前を歩いているのに一度も気にしたことがなかったなんて言いながら。
今日は外に出たり帰って来たりを数回繰り返す忙しい土曜日だった。でも、あまり疲れていないのは、自分が欲したことをしたからだろう。それに私は動いているのが好きだ。そして晩は落ち着いて静かに過ごす、これが私の好きな生活スタイル。この時期は誰に会ってもこの夏はどうする? なんて話題が登る。今日もそうだった。もう行き先を決めたことや、何をしたいかなんて話をしているうちに、奄美大島や屋久島の話になった。実は私は日本人でありながらあまり日本のことに詳しくない。訪れたことのある土地も数える程しかなく、これまでを振り返りながら、自分は今まで何をしていたのだろうなどと思うほどである。だから奄美大島や屋久島についても名前を知っている程度である。とは言え、屋久島については多少知っている。昔、美しい写真を見たことがあるのだ。屋久島には美しい樹の群れがあって、私が観た樹の写真は、それは印象深く、いつかその場に行きたいと思った、あの日から30年以上が経ってしまった。今日は久しぶりに屋久島の話をして、あの美しい樹や美しい緑色のことを思いだして、いつか本当に実現できればいいのに、この目であの樹を見ることが出来ればいいのにと願った。沢山のことは望まない。ただ、旅を何時までも愉しめるように、元気で居たいと思う。
ここ数日のボローニャの暑さは実に夏のようで、公共バスの中の冷房が寒い。汗を掻いていたところに冷房の風が当たり、久し振りに扁桃腺が暴れ出した。そういえば今日行った先でもバルバラという名の女性が、冷房のせいで声が出ないと言っていたっけ。気を付けなければ。此れから冷房と上手に付き合っていかねばならぬと思いながら、夜空の星はあんなに美しいと言うのに深い溜息が出た。
